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アブダビ首長国、「住みやすさ戦略」拡大へ、114億ドル規模

アブダビはUAEを構成する7つの首長国の1つであり、政治・経済の中心地である。
アラブ首長国連邦、アブダビの夜景(Getty Images)

アラブ首長国連邦(UAE)・アブダビの皇太子が生活の質向上を図る追加プロジェクトを実施するため、「住みやすさ戦略」を420億ディルハム(約1.69兆円)規模で拡大することを承認した。国営メディアが29日に報じたが、具体的なプロジェクト内容については明らかにしなかった。

アブダビはUAEを構成する7つの首長国の1つであり、政治・経済の中心地である。特に石油と天然ガスの豊富な埋蔵量により、同国の経済を支える基盤となっている。アブダビ首長国にはUAE全体の石油埋蔵量の約90%が集中しており、エネルギー輸出を通じて莫大な収入を得てきた。しかし、近年では脱炭素社会への転換やエネルギー価格の変動リスクを見据え、経済の多角化を推進している。

この多角化政策の一環として、政府は観光、金融、教育、再生可能エネルギー分野への投資を強化している。アブダビのソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)であるムバダラやADIA(アブダビ投資庁)などは世界的にも有数の規模を誇り、海外投資を通じて国家収入の安定化を図っている。また、マスダール・シティと呼ばれる持続可能都市の建設など、再生可能エネルギーや環境技術にも積極的に取り組んでいる。

住宅事情に関しては、アブダビには高級なヴィラや高層マンションが多く立ち並び、特に外国人駐在員向けの住宅市場が発達している。これらの住宅は市内中心部のコーニッシュ地区やサディヤット島、アルリーム島などのエリアに集中しており、プールやジム付きの高級物件も珍しくない。一方で、地元市民には政府からの住宅支援が手厚く、土地の無償提供や住宅ローンの利子補助といった政策がある。

賃貸価格はドバイと比較してやや落ち着いているが、それでも中心地や人気エリアでは高額になる傾向がある。また、外国人が不動産を所有できるフリーホールドゾーンも一部解放されており、投資目的での不動産購入も進んでいる。一方で、低所得労働者向けの集合住宅や労働者キャンプも存在し、住環境には大きな格差が見られる。全体として、アブダビの住宅事情は階層によって大きく異なり、都市の急速な発展とともに変化を続けている。

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