85万人のシリア難民が帰国、アサド政権崩壊以来=国連
アサド前大統領は24年12月、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。
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国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は1日、シリアのアサド政権が昨年12月に崩壊して以来、約85万人のシリア難民が近隣諸国から帰国したと明らかにした。
UNHCRの高等弁務官はAP通信の取材に対し、「この数は今後数週間で100万人に達する可能性がある」と語った。
アサド(Bashar Assad)前大統領は24年12月、タハリール・アルシャーム機構(HTS)率いる反体制派による電光石火の攻勢に対応できず、ロシアに逃亡。これにより、50年にわたるアサド一族の独裁に終止符が打たれた。
暫定政府は周辺国および西側諸国との関係を改善。経済制裁も緩和された。しかし、3月には沿岸地域でアサド氏を支持するアラウィー派を標的とする宗派間抗争が発生。7月には南部スウェイダ県でアラブ遊牧民ベドウィンの武装勢力と地元のドルーズ派の治安部隊が衝突し、数千人が殺害された。
UNHCRの高等弁務官は「14年に及ぶ内戦で国内避難民となった約170万人が、暫定政府がシリアの大部分を掌握したことで、それぞれのコミュニティに戻った」と明らかにした。
また弁務官は「7月にベドウィンとドルーズ派の間で発生した戦闘の結果、南部で約19万人が避難を余儀なくされた」と述べた。
シリア内戦の犠牲者は50万~60万人と推定されている。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルはアサド政権時代の弾圧により死亡した10万人以上の遺体が首都ダマスカスの集団墓地に埋葬されている可能性があると指摘している。