イエメン沖で移民船沈没、68人死亡、74人行方不明=国連IOM
アフリカ北東部・ジブチとイエメンの距離は最も近い地点で26キロほど。多くの移民がボロボロの木造船や頼りないゴムボートなどで横断を試みる。
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国連の専門機関である国際移住機関(IOM)は3日、イエメン沖で移民を乗せた船が転覆し、少なくとも68人が死亡、74人が行方不明になっていると明らかにした。
IOMのイエメン事務所はAP通信の取材に対し、「エチオピア人154人を乗せた船がイエメン南部アビヤン州沖のアラビア海で転覆した」と語った。
それによると、少なくとも12人が生存し、54人の遺体が近くの海岸に打ち上げられ、さらに別の場所でも14人の遺体が収容されたとのこと。
船がいつ転覆したかは明らかになっていない。
イエメン南部当局は54人の死亡を確認したと報告している。
南部の分離独立を目指す「南部暫定評議会(STC)」と同国の大部分を支配する親イラン武装組織フーシ派はコメントを出していない。
アフリカ東部・タンザニアのザンジバル諸島の当局者は声明で、「行方不明者の捜索が続けられている」と明らかにした。
アフリカ北東部・ジブチとイエメンの距離は最も近い地点で26キロほど。多くの移民がボロボロの木造船や頼りないゴムボートなどで横断を試みる。
IOMによると、このルートは人身売買組織の支配下にあり、女性や子供が標的になっている。男性はイエメンの戦地に送られることもあるという。
イエメンにたどり着いた移民は徒歩でUAE(アラブ首長国連邦)やサウジアラビアを目指す。湾岸諸国から帰国する者は同じルートを逆にたどる。
2023年にイエメンにたどり着いた移民は9万7200人、21年の3倍に急増した。
IOMによると、24年は6万1000人弱まで減少。ジブチは同盟国や国際機関と連携してこの海域のパトロールを強化している。
IOMはこの海域を「世界でも最も混雑し、危険な移民ルートのひとつ」と評している。
IOMによると、この海域では過去10年間で2000人を超える移民が行方不明になっている。昨年は少なくとも558人が死亡した。