イエメン沖で移民船沈没、54人死亡、数十人行方不明

アフリカ北東部・ジブチとイエメンの距離は最も近い地点で26キロほど。多くの移民がボロボロの木造船や頼りないゴムボートなどで横断を試みる。
アフリカ北部・リビア沖、移民船と沿岸警備隊の巡視艇(AP通信)

イエメン沖で約150人の移民を乗せた船が沈没し、少なくとも54人が死亡、大勢が行方不明になっている。現地メディアが3日に報じた。

ロイター通信は治安筋の話しとして、「船は南部アビヤン州沖のアラビア海で転覆・沈没した」と伝えている。

南部の分離独立を目指す「南部暫定評議会(STC)」と同国の大部分を支配する親イラン武装組織フーシ派はコメントを出していない。

アビヤン州の保健当局はロイターの取材に対し、「この船に乗っていた約150人のうち10人が救助された」と語った。

それによると、9人はエチオピア人、1人はイエメン人とのこと。

アフリカ北東部・ジブチとイエメンの距離は最も近い地点で26キロほど。多くの移民がボロボロの木造船や頼りないゴムボートなどで横断を試みる。

国連の国際移住機関(IOM)によると、このルートは人身売買組織の支配下にあり、女性や子供が標的になっている。男性はイエメンの戦地に送られることもあるという。

イエメンにたどり着いた移民は徒歩でUAE(アラブ首長国連邦)やサウジアラビアを目指す。湾岸諸国から帰国する者は同じルートを逆にたどる。

2023年にイエメンにたどり着いた移民は9万7200人、21年の3倍に急増した。

IOMによると、24年は6万1000人弱まで減少。ジブチは同盟国や国際機関と連携してこの海域のパトロールを強化している。

IOMはこの海域を「世界でも最も混雑し、危険な移民ルートのひとつ」と評している。

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