レバノン南部の医療センターに空爆、医療従事者12人死亡=WHO
レバノンでは戦闘の拡大に伴い人道危機も深刻化している。
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中東で緊張が高まる中、レバノン南部の医療施設が攻撃を受け、多くの医療従事者が死亡した。世界保健機関(WHO)のテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は14日、レバノン南部にある一次医療センターへの攻撃で医師や看護師、救急隊員など少なくとも12人の医療関係者が死亡したと明らかにした。医療施設が攻撃対象となったことに対し、WHOは強い懸念を示している。
攻撃を受けたのはレバノン南部の工業地区にある医療センターで、空爆によって大きく損壊し、多数の医療スタッフが瓦礫の下敷きになったとされる。WHOは被害状況を確認した結果、医療活動に従事していた12人が死亡したと発表した。犠牲者には医師や看護師、救急救命士などが含まれている。
さらに同日、別の地域でも医療関係者が巻き込まれる攻撃が発生した。首都ベイルート郊外で医療施設を標的とするイスラエル軍の空爆により救急隊員2人が死亡、WHOによると、過去24時間で医療従事者の死者は合計14人に上った。医療活動に携わる人々が相次いで犠牲になったことで、人道状況への懸念が一層高まっている。
今回の攻撃はイスラエルとレバノンの親イラン組織ヒズボラとの間で戦闘が激化する中で起きた。イスラエル軍はヒズボラの拠点を標的に大規模な空爆を実施し、レバノン各地で多数の死傷者や避難民が発生している。一方、ヒズボラもイスラエルに向けて多数のロケット弾を発射するなど報復攻撃を続け、国境を挟んだ戦闘が激化している。
レバノンでは戦闘の拡大に伴い人道危機も深刻化している。国連などによると、イスラエルによる空爆などの影響で100万人近くの住民が避難を余儀なくされ、医療体制にも大きな負荷がかかっている。医療施設の被害や避難命令により、多くの診療所や病院が閉鎖を余儀なくされ、住民が基本的な医療サービスを受けられない状況も広がっている。
テドロス氏は声明の中で、医療施設や医療従事者は国際人道法によって保護されるべき存在であり、攻撃は決して許されないと強調した。また、医療施設への攻撃は地域住民の命を危険にさらし、紛争地域の保健医療体制を崩壊させる恐れがあるとして、すべての当事者に対し医療施設の保護を求めた。
レバノンでは近年、武力衝突の中で医療施設や救急隊への攻撃が繰り返されてきた。医療機関や救急活動は本来、国際法の下で保護されるべきであり、攻撃は重大な人道問題として国際社会から強い批判を受けている。今回の事件は地域紛争が医療体制にも深刻な影響を及ぼしている現状を改めて浮き彫りにした。
中東情勢は依然として不安定で、イスラエルとヒズボラの衝突が拡大すれば、さらなる民間人被害や医療体制の崩壊につながる恐れがある。国際社会は停戦や人道支援の必要性が強調される中、事態の沈静化に向けた外交的努力が求められている。
