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イランで反体制派への弾圧続く、死者6400人、1万人行方不明

1月8日から9日にかけて、首都テヘランや他都市で数千人規模のデモ隊が「体制転換」を訴えて通りに繰り出した直後、治安部隊は武力による大規模な弾圧を開始した。
2026年1月11日/イラン、首都テヘラン、政府に抗議する人々(ロイター通信)

イランでは1月初めに全国規模の反政府デモが激化して以来、治安部隊による弾圧が続き、死者・逮捕者が急増している。抗議デモ発生から1カ月が経過した現在、デモ参加者や人権団体が発表する犠牲者数は政府発表を大きく上回っており、当局の対応への国際的な批判も強まっている。

1月8日から9日にかけて、首都テヘランや他都市で数千人規模のデモ隊が「体制転換」を訴えて通りに繰り出した直後、治安部隊は武力による大規模な弾圧を開始した。参加者らが抗議活動を展開する中、治安部隊は実弾を用いてこれを制圧し、救急医療が追いつかないほどの多数の死傷者が出たとの報告が相次いでいる。

米国拠点の人権団体HRANAによると、2月9日時点で抗議関連の死者数は6400人を超え、5万1500人以上が逮捕されたという。一部の関連死については現在も調査中で、さらに1万1000人以上の死亡が確認待ちの状態にあるとされる。これらの数字は政府側による公式統計と大きく異なり、実際の犠牲者数はさらに増える可能性があるとしてHRANAは警鐘を鳴らしている。

死者の中には学生も含まれている。イラン教員労働組合協議会(CCITTA)は声明で、少なくとも200人の学生が抗議活動中に殺害されたと発表した。声明は「それぞれの名前には”彼が生きていれば”という願いが込められている」と述べ、教室に空席が増える現状を「犯罪の記憶」と表現した。

SNS上には犠牲者や行方不明者の写真・映像が数多く投稿され、家族が亡くなった親族の遺体を捜し求める姿や、逮捕者の釈放を求める呼びかけも見られる。デモで負傷した市民が病院で治療を受けることを恐れ、SNSを通じて自力で治療法を探す投稿も増加している。治安部隊が病院を監視し、負傷者を拘束するケースもあると複数の弁護士や活動家が指摘している。

拘束者の中には著名なジャーナリストや活動家も含まれ、反体制の声明に署名したことで逮捕された人物は拘束後に拷問を受けたとの証言も出ている。拘束施設内での虐待や拷問、性的暴力が広範に行われているとの指摘もあり、人権団体は深刻な懸念を表明している。

さらに、弾圧を促進するための「自白強要」番組が複数放送され、経済界の著名人やストライキ支持者が公開の場で体制への謝罪を強いられる事例も確認されている。また、体制批判をしたとされる改革派政治家や識者らが「国家への攻撃」や「プロパガンダ拡散」などの罪で逮捕される動きも続いている。

このような状況の中、イラン政府は反政府運動を「国家の安定を脅かす陰謀」と位置付け、治安維持の必要性を強調している。一方で国際社会は、死者数の増大と人権侵害の疑いに対して強い懸念を示し、透明性ある調査と抗議者の安全保障を求める声を高めている。

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