アンバーとジョニーの泥沼裁判

人気女優のアンバー・ハード女史(34歳)は、元夫の人気俳優ジョニー・デップ氏(57歳)に何度も何度も殺すと脅されたと主張している。

デップ氏は「暴力夫」「妻を殴打する男」という記事を書いた日刊タブロイド紙「The Sun」を訴えているが、同社は記事の内容に間違いはないと反論している。これに対しデップ氏は、The Sunが主張する14件の家庭内暴力事件を真っ向から否定、全面戦争に突入した。

デップ氏とハード女史を巡る裁判は泥沼化し、世界中の注目を集めることになった。

7月20日、ハード女史はロンドン高等法院で進行中の同裁判(10日目)の証言台に立ち、「3日間、人質と同じ状況下に置かれた」と述べ、元夫が「薬物とアルコールを摂取しながら激しく乱暴した」と証言した。

ハード女史は証言の中で、「元夫は私に罵声を浴びせ、酷く罵り、脅迫し、殴打し、平手打ちし、蹴り飛ばし、頭突きを叩き込み、首を絞め、極端に行動を制限したうえで、何度も何度も虐待した」と元夫を批判した。

また彼女は、「これらの事件は、デップ氏が意図的に起こしたものである。彼はコントロールを失い、行き過ぎたため、殺されると思った」と付け加えた。

ハード女史はデップ氏について、「カリスマ性と自分の不思議な印象を相手に上手く伝え、人をマインドコントロールすることが得意」と主張している。

「彼は自分がとった行動に責任を取らなかった。彼は自分ではなく、自分の中にいる第三者が勝手に行動したと思い込んでいた。彼は自分の中に巣くう第三者をモンスターと呼んでいた」と女史は語った。

彼女はデップ氏と付き合い始めた時、「非常に愛情が深く、暖かくて魅力的だった」と言い、「王様と付き合っているように感じた」と述べていた。

2015年から2017年まで夫婦関係にあった二人は、2009年に撮影された映画「ラムダイアリー」でロマンティックな関係になったと言われている。

その後、デップ氏がハード女史に迫り、同映画をキャンペーンした2011年にはロマンティックな関係が完全に構築されていた。

当時、ハード女史はハリウッドの頂点を極めた人気俳優について、「ジョニーの中にある強さと暗い雰囲気は、私が今まで経験したことのないものだった。ジョニーに少し暗いと指摘すると、彼はものすごく暗くなり、二人の関係を死に例えた。死こそが私たちの関係を終わらせる唯一の方法だと話した」と述べている。

証言台に立ったハード女史は、2015年3月にオーストラリアで映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の続編を撮影中だったデップ氏を訪ね、そこで「3日間の人質事件」が発生したと説明した。

3日間、彼女は「心理的、肉体的、感情的およびその他の形態の暴力」にさらされ続け、ボロ雑巾にされたと主張。「私の人生の中で最低最悪の出来事だった。私は唇と鼻を負傷し、腕を切られた」と言う。

ハード女史はデップ氏に首をつかまれ、冷蔵庫に叩きつけられたのち、ガウンをむしり取られ、ポールに押し付けられたと説明した。さらに、「彼は私の首を強く圧迫した。息ができず、私は必死に苦しいと伝えた。この瞬間、彼は私を殺そうとしていると初めて確信し、恐怖したことを鮮明に覚えている」と付け加えた。

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本を読むハード女史

ハード女史の主張

ガウンをむしり取られたハード女史は、ボロボロの状態で部屋から退散。その後、打ち捨てられたガウンにステーキ用の生肉が包れていることに気づいた。

元夫は私がクローゼットに置いた服を着用し、自分の匂いをつけていた」と彼女は主張した。

同裁判では、オーストラリアで仕事中だったデップ氏に対し、ハード女史がウォッカの瓶を投げつけた事件についても審理されている。その際、デップ氏は粉砕したガラス片で指の上部を切断したと主張した。

これに対しハード女史は7月20日の証言の中で、「彼の指が切断したところを直接見たわけではない。しかし、前日の夜に何かあったのではないか、と一応心配した。私は彼が冷蔵庫の壁に設置された電話を破壊した際に負傷したのだろうと思った」と述べた。

ハード女史によると、デップ氏は妻が映画で共演する俳優たちと関係を持っていると考え、非難したという。「彼は私が映画の共演者全員と不倫している、と疑った。エディ・レッドメイン、ジェームズ・フランコ、ジム・スタージェス、ケビン・コスナー、リアム・ヘムズワース、ビリー・ボブ・ソーントン、チャニング・テイタム、女優のケリ・ガーナーとも肉体関係を持ったと罵り、罵声を浴びせた」

さらに彼女は、「元夫はレオナルド・ディカプリオのような人気俳優と私が共演すると、酷く怒った。彼は酒を大量に飲み、酷く酔っ払うと共演者たちを軽蔑的なニックネームで呼び、私が性的な関係を持った男たちと馬鹿にした。ディカプリオはカボチャ頭、チャニング・テイタムはジャガイモ頭と呼ばれていた」と付け加えた。

デップ氏の弁護士を務めるエレアナ・ローズ氏は、2015年1月にハード女史の元を訪ね、結婚前の合意について協議を続けるべきだと提案した。

弁護士の願いもむなしく、結婚前の協議は物別れに終わる。ハード女史は証言台で当時の様子を説明した。「東京のホテルの一室で私はデップ氏と結婚前の協議を行った。彼は私の背後に立ち、後頭部を殴りつけた。彼は私が共演者たち全員と関係を持ったと信じ、罵った」

ハード女史は婚前契約を望まず、デップ氏の弁護士がまとめた案にも署名しなかったという。彼女はハリウッドの頂点を極めた男の財産に興味はなかったと主張し、手切れ金など不要、真実を世界に伝えることが重要だと述べた。

防戦一方のデップ氏も負けてはいない。ローズ弁護士はハード女史が隠し持つ「嫉妬心と怒り」について述べ、彼女がしばしば冷静さを失い暴力的になったと主張している。

ローズ弁護士はエリン・ボーラム医師が書いたカルテについて言及した。それによるとハード女史は、「不安と興奮が増大すると、怒りを爆発させ手が付けられない。また、ひとりでいることに酷く不安を感じ、デップ氏がロンドンを舞台にした映画を撮影している際にも、酷い不安と嫉妬の感情を抱いていた」という。

ローズ弁護士は不安と嫉妬に駆られデップ氏の撮影先を訪ねたのか、とハード女史に質問した。これに対しハード女史は、「元夫が私の元を離れたため、オーストラリアに行こうと考えた。私は彼と長期間離れ離れになることがイヤだった」と答えた。

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ジョニーの生演奏

質問の後、ハード女史はオーストラリアで発生した人質事件のテープレコーダーを再生。デップ氏の「俺はポッドを投げつけなどしない」という声が録音されていた。

この件についてローズ弁護士は、ハード女史がウォッカの瓶を投げつけデップ氏を攻撃したと主張。一方、ハード女史は、「激しく暴力をふるわれたので、生き残るために物を投げつけた」と反論した。

ローズ弁護士は2016年5月21日の夜に発生した暴力事件で、ハード女史が大怪我を負ったという主張はウソと述べた、

この事件は、デップ氏がハード女史に携帯電話を叩きつけ、目を殴り、髪を鷲掴みにしたのち、顔面を叩いたとメディアに伝えられ、物議を醸した。

ローズ弁護士は「ハード女史顔面殴打事件」について、「デップ氏はいかなる暴力もふるっていない」と反論。これに対しハード女史は、「元夫は私を叩き伏せた。それらの暴力の結果、私のペントハウスは酷く損傷した」と述べた。

ローズ弁護士はたたみかけた。同時、顔面を負傷した数日後に撮られた写真を開示し、「顔に傷跡が一切なく、いつもと同じように見える」と主張。

これに対しハード女史は、「パパラッチが遠くから撮影したものであり、証拠にならない。私は傷を隠すために化粧し、うつむき気味に歩いていた」と言い返した。

しかしローズ弁護士はさらに追及する。ハード女史が負傷した、という証拠に開示したあざのついた自分の写真は、「化粧や照明などを使いそれらしく見せている。さらに、写真のあざは自分でつけたものであり、デップ氏は一切関与していない」と吐き捨てた。

ハード女史はローズ弁護士の主張を完全否定したうえで、「あざを隠すことは当然。私は元夫につけられたあざを他人に見せたくなかった」と述べた。

最後にローズ弁護士は、事件発生後もハード女史がデップ氏と普通に携帯電話で連絡をとりあっていたことについて言及。二人の仲は冷え切ったいたのに、ハード女史がそれを認めず、しつこくメッセージを送りつけていたと述べた。

これに対しハード女史は、「私は元夫の中にいるモンスターを恐れていた。私が愛してかつてのジョニーは消え、おぞましい怪物とまた再会しなければならないと恐怖したせいだ」と答えた。

公聴会は3週間続き、結審する予定。

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