イギリスの女優、ダイアナ・リグ氏が死去
テレビシリーズ「おしゃれ探偵(The Avengers)」や「ゲーム・オブ・スローンズ(GOT)」、そして「女王陛下の007」でボンドガールを演じたイギリスの女優、ダイアナ・リグ氏が亡くなった。82歳だった。
リグ氏の娘である女優のレイチェル・スターリング氏は、「母は3月に癌と診断され闘病生活を送っていた。最後の数カ月、母は愛と笑い、そして女優として築き上げたキャリアを振り返り、素晴らしい人生だったと述べ、10日の早朝に亡くなった」とコメントした。
リグ氏が演じたボンドガールの”テレサ・ディ・ヴィセンゾ”は、同シリーズで唯一、ジェームズ・ボンドの妻になった印象深いキャラクターである。
女王陛下の007でジェームズ・ボンドを演じたジョージ・レーゼンビー氏は、リグ氏の訃報を聞き、「大切な友人を失い、とても悲しい」と語り、007シリーズを手掛けるマイケル・G・ウィルソン氏とバーバラ・ブロッコリ氏も大女優が残した数多くの偉業を称えた。
また、世界中でメガヒットを記録したHBOのテレビドラマシリーズ、ゲーム・オブ・スローンズの公式アカウントも彼女を称えた。
なお、彼女は同作の中でオレンナ・タイレル(とげの女王)を演じ、エミー賞にノミネートされた。
"We are very sad to hear of the passing of Dame Diana Rigg, the legendary stage and screen actress who was much beloved by Bond fans for her memorable performance as Tracy di Vicenzo in On Her Majesty’s Secret Service, the only woman to have married James Bond." pic.twitter.com/nqQCSg35oM
— James Bond (@007) September 10, 2020
Be a dragon.
— Game of Thrones (@GameOfThrones) September 10, 2020
The realm will always remember Diana Rigg.
1960年代を象徴するスパイシリーズ、おしゃれ探偵に出演したリグ氏は一躍スターとなり、その後も様々なテレビドラマや舞台などで活躍した。
スターリング氏はリグ氏の訃報について声明を発表した。
レイチェル・スターリング氏:
「最愛の母は、今朝早く、家族に見守られる中、安らかな顔で眠りについた」
1960年代、リグ氏はロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの一員として数年間過ごし、ウィリアム・シェイクスピアの「マクベス」、ベルトルト・ブレヒトの「肝っ玉おっ母とその子どもたち(原題:Mutter Courage und ihre Kinder)」、トム・ストッパードの「ジャンパーズ」などの舞台に出演した。
また、1990年代にロンドンのアルメイダシアターで公開された「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない(原題:Who's Afraid of Virginia Woolf?)」では主役のマーサを演じ、称賛された。
さらに、ブロードウェイで公開された「メディア」でトニー賞を受賞、他部門でもノミネートされ、圧倒的な存在感を見せつけた。
最近では2018年に「マイ・フェア・レディー」でヒギンス夫人を演じ、トニー賞にノミネートされている。
リグ氏の出演作品を演出した演劇監督のジョナサン・ケント氏は、「個性、美しさ、勇気、そして純粋に役を演じたいと願う力の組み合わせにより、彼女は偉大な古典作品で主演を務めることのできる女優になった。リグ氏は、世界を代表する驚くべき舞台出演者のひとりである」と述べた。
ダイアナ・リグ氏が演じた印象的なキャラクター
女優
1994年の舞台劇、メディアで主役を演じ、トニー賞で4部門同時ノミネートを果たした時、リグ氏は舞台女優の頂点に立った。
ゲーム・オブ・スローンズでジェイミー・ラニスターを演じたニコラス・コスタ―=ワルド―氏は、「リグ氏は信じられないほどの才能、知性、機知で、作品の水準を引き上げてくれた」とコメントした。
ドラマ「シャーロック」の共同制作者兼俳優として活躍するマーク・ゲイティス氏は、リグ氏と一緒に仕事を行った時の思い出をツイートした。
It was my great joy and privilege to have known Diana Rigg. From three slightly hysterical months at the Old Vic in ‘All About Mother’ to writing The Crimson Horror for Diana and her wonderful daughter Rachael. Flinty, fearless, fabulous. There will never be another. RIP pic.twitter.com/2EGc4MVx0S
— Mark Gatiss (@Markgatiss) September 10, 2020
RIP Dame Diana Rigg. Great actress and good sport - lest we forget, she let Daniel Radcliffe flick a condom on her head in Extras. pic.twitter.com/scFC8KPlZz
— Stephen Merchant (@StephenMerchant) September 10, 2020
”ヴァージニア・ウルフなんかこわくない”で共演した俳優のデヴィッド・スーシェ氏は、BBCラジオ4の中で、「彼女はとても寛大で暖かかった」と述べた。
デヴィッド・スーシェ氏*
「私はリハーサル室で初めて彼女に会った。その時、私はとても緊張しており、彼女の存在感に圧倒された」
「私は素晴らしい作品に出演し、さらに、信じられないほど素晴らしい主演女優と共演できた。彼女のずば抜けた知性と並外れた強さ、そして作品に懸けた情熱を一生忘れない」
イギリスを代表する女優のヴァネッサ・レッドグレイヴ氏は、「彼女はベスト、最も素晴らしい女優だ」とコメントした。
映画「ベイビー・ドライバー」で監督を務めたエドガー・ライト氏は、「リグ氏は私が監督する作品に出演してくれた。これ以上に素晴らしいことはない」とコメントした。
ライト氏が監督、脚本を務める「ラスト・ナイト・イン・ソーホー(原題:Last Night In Soho)」は2021年春に公開予定、リグ氏の遺作である。
リグ氏のエージェントを務めたサイモン・ベレスフォード氏は声明を発表した。
サイモン・ベレスフォード氏:
「彼女はプライバシーを大切にし、家族に看取られながら亡くなった」
「ダイアナ・リグは、女優という仕事、一緒に作品を作る関係者、俳優たちを心の底から愛していた」
昨年、リグ氏はゲーム・オブ・スローンズに出演した際の喜びをBBCに語っていた。
ダイアナ・リグ氏:
「私は悪いキャラクターを演じることが好きだ。穏やかなキャラクターを演じるより、ずっと面白い」
「悪いキャラクターを演じたくない俳優もいる。しかし、私はオレンナ・タイレルが大好きだ。彼女は強烈なセリフを持っている。これ以上に演じがいのあるキャラクターはいない」
リグ氏は1988年に大英帝国勲章のCBE勲章、1994年にはナイトに相当する叙勲、デイムを受勲した。
ご冥福をお祈りいたします。
The Avengers - Short Skirt, Long Jacket