◎裁判は5週目に突入した。
2022年5月16日/バージニア州フェアファックスの地方裁判所、女優のアンバー・ハード(Steve Helber/Pool/AP通信)

女優のアンバー・ハード(Amber Heard)は16日、ジョニー・デップ(Johnny Depp)が起こした5000万ドル(約63億円)の名誉毀損裁判の中で、「ジョニーに殺されるのではないかと恐れていた」と涙を浮かべながら語った

ジョニーはワシントン・ポスト紙が2018年に掲載した記事の中で、アンバーが「家庭内暴力を(受けた女性を)代表する公人になった」と主張したことに憤慨し、5000万ドルの訴訟を起こした。

アンバーは記事の中でジョニーの名前には触れていないが、ジョニーは記事のせいで名誉、名声、ファン、大ヒット映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」フランチャイズ、映画「ファンタスティック・ビースト」シリーズを失ったと主張している。

裁判は5週目に突入した。

アンバーは陪審員に、「ジョニーとの結婚生活を続けたら生きていけないだろうな、と思いました」と涙ながらに語った。「私は悪い結果になることを恐れていました。私は彼と別れたくなかった。私は彼をとても愛していたのです...」

アンバーは2015年2月の結婚式後のハネムーン旅行でジョニーに殴られ、首をつかまれたと証言した。「私たちはアジアのオリエント急行に乗車し、ハネムーンを満喫する予定でした。しかし、ジョニーは私を寝台車で殴り、首をグッと絞めつけたのです」

「もうだめ、ジョニーは私を殺すかもしれないと思ったことを今でも覚えています」

アンバーによると、ジョニーはまもなくフロントチョークを解除したという。

さらにアンバーは、俳優ジョームズ・フランコとの共演オファーを受けた際、ジョニーが激しく嫉妬し、「地獄の1週間が始まった」と陪審員に語った。「ジョニーは私を殴り、蹴っ飛ばし、家具に投げつけました...」

アンバーは、結婚生活は時に、とても愛情に満ちていたと説明する一方、時間の経過とともに緊張と暴力が日常になり、悪化したと語った。ふたりは2017年に離婚した。

アンバーは、「ジョニーは口論になると自分で自分の身体を何度も傷つけました」と語った。「彼はよく腕を切ったり、ナイフを胸に当てたりしました。自分の身体にタバコを押し付けて消すこともありました」

ジョニーの弁護士は午後の反対尋問が始まると、アンバーの主張に異議を唱えた。

弁護士は目撃者の以前の証言などを引用し、「殴られたとされる主張を裏付ける写真や医療記録がなぜこれほどまでに少ないのか」と問いただした。

アンバーは虐待の被害者であることを恥じ、セラピー以外の治療は受けず、代わりに青アザを隠す化粧と腫れを抑える氷に頼っていたと反論した。

アンバーとジョニー側のやり取りはヒートアップし、アンバーは目に涙を浮かべながら陪審員に訴えた。

弁護士はアンバーがジョニーとの離婚で得た700万ドルを全額チャリティーに寄付すると誓った件について、「あなたは一度もチャリティーに寄付していない」と問いただし、アンバーはこれを認めた。

しかし、アンバーはこれまでの証言でジョニーと一度も目が合っていないことに言及し、「ジョニーは自分の罪を認めているのです」と主張した。「彼は私と一度も目を合わせていません。彼は見れないのです」

ジョニーは以前の審理でアンバーを殴ったことは一度もないと主張し、家庭内暴力の被害者は元妻ではなく自分と訴えた。

陪審員たちは16日の審理の中で、ふたりが口論している複数の音声記録を聞いた。ジョニーは記録のひとつで、「アンバーに殴られた」と述べている。

ジョニー(音声)「あなたは私を殴りました!」

アンバー(音声)「殴ってない!」

アンバーは以前の証言で何度かジョニーを殴ったと認めたが、ふたりの体格差は歴然で、ジョニーが自分に与えた衝撃とは比べものにならないと主張している。

2022年5月16日/バージニア州フェアファックスの地方裁判所、俳優のジョニー・デップ(Steve Helber/Pool/AP通信)
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