私が愛したジョニー
ジョニー・デップ氏(57歳)は冷静、寛大、愛情を持った男だった。しかし、彼の中に存在するモンスターが解き放たれた時、私は大きな間違いを犯したことに気づいた、とアンバー・ハード女史(34歳)はロンドン高等法院で語った。
ハード女史はデップ氏を「愛していた」と語り、「最愛の夫にモンスターではなく、人間らしい心を持ってほしいと常に思っていた」と述べた。
しかし、デップ氏はハード女史を暴行した。そして、女史の母親に送ったテキストメッセージは偽りに満ちていたという。「私が愛した男は、私の大切な母親を苦しめた」と彼女は当時を振り返った。
今回の裁判は、デップ氏が日刊タブロイド紙The Sunに対して起こしたものである。なお、デップ氏は事実無根のデタラメと主張しているが、同紙は「100%真実」と徹底して争う姿勢を見せている。
ハード女史の妹、ホイットニー・ヘンリケス氏(旧姓ホイットニー・ハード)はロンドン高等法院に書面で声明を提出。そこには、「デップ氏と姉が結婚すると聞いた時、気分が悪くなった」と記されていた。
7月22日、ハード女史はThe Sunの出版元、News Group Newspapers(NGN)のサーシャ・ワス氏から質問された。
ワス氏は二人がまだ夫婦の契りを交わしていない2013年3月22日と23日に、デップ氏がハード女史の母親、ペイジ氏に送付したテキストメッセージを読み上げた。
デップ氏「私は何も悪いことはしていない。ひどすぎる。お母さん(ペイジ氏)、私はどうすればいいのか分からない」
ペイジ氏「事件のことは聞いた。あなたは暴力的でクレイジーだ。私は愛する娘が暴力にさらされたことを悲観している。しかし、娘は爆発寸前の列車と分かっていながら、乗車した。飛び降りて愛を失いたくないのだ。だから、自分がひどい目に合うと分かっていても、電車から降りない」
ハード女史は同公判初日の証言において、2013年3月の「ターシャ・ヴァン・リー氏、絵画破損事件」の概要を説明している。この事件は、デップ氏がハード女史の元ガールフレンド、リー氏を殴打し、その返り血が絵画に付着した、というものである。
ハード女史は、このケースの発生日を2013年3月8日と述べていたが、証言を改め、2013年3月22に発生したとロンドン高等法院にも報告している。
当時、デップ氏との結婚を望んでいたハード女史は、高等法院裁判官に自分のありのままの気持ちを説明した。
「私はジョニーに恋をしていた。彼と出会って以来、清廉潔白な素晴らしい時間を過ごすことができた。私は、彼の寛大かつ優しい性格と愛に触れ、心の底から嬉しく思った。私は彼を愛していた。彼を失いたくなかった。ジョニーの中に潜むモンスターが表に出てこないことを信じ、望んでいた」
ワス氏は母親(ペイジ氏)のテキストメッセージを読み上げ、なぜ父親に真実を伝えなかったのかと質問した。これに対しハード女史は、「父にだけは言えなかった」と答え、「母に事件を説明しても問題ない、大丈夫だと思ったが、父はどのように反応するか分からなかった。父が事実を知れば、事態は悪化していただろう」と付け加えた。
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箸を巧みに使いこなすハード女史
カリビアンモンスター
ロンドン高等法廷には、ハード女史とデップ氏のアシスタントを務めていたネイサン・ホームズ氏のテキストメッセージも提出されていた。このメッセージも、2013年3月22日のものである。
2013年3月22日、デップ氏はイギリスを代表するロックバンド、ローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズ氏と共にドキュメンタリーを撮影する予定だった。
正午頃、ホームズ氏はハード女史に「今、彼を迎えに行く途中だ」とテキストメッセージを送信。これに対しハード女史は、「すぐ彼を起こす」と返信した。
ロンドン法廷は、ハード女史がホームズ氏充てに送付したテキストメッセージに注目した。送信時間は18時、「ジョニーは撮影に向かう」と書かれていた。
ワス氏はハード女史に対し、「正午頃から18時の間に何が起こっていたのか?」と尋ねた。
ハード女史は次のように答えた。
「彼は撮影を一方的にキャンセルした。彼はコカインを鼻から吸引し、ウイスキーを飲みながら、今すぐ解決しなければならない問題がある、と言った。彼は私が元パートナーのリー氏だけでなく、近づいてくる男たちと不審していると疑っていた。キース・リチャーズ氏とは面識もほとんどなく、雲の上の存在だったのに、彼は不倫を認めろと迫った。彼は不倫を認めるまで開放しない、と言った」
ワス氏は、ハード女史が暴行被害を受けた直後に撮影した「アザの写真」はデマ、という主張は誤りであると述べ、デップ氏の暴力行為は疑いようのない事実であると断罪した。
ワス氏はハード女史に尋ねた。「あなたはデップ氏の主張に対処したことで、何かしらの恩恵を受けたか?また、キャリアに変化はあったか?」
ハード女史は答えた。「何もない。そもそも、家庭内暴力の犠牲になった女性が恩恵を受けた事案など存在しない」
ワス氏はハード女史に、離婚申し立てを行ったことで「金銭的な恩恵は受けたか?」と尋ねた。これに対し女史は、「私は欠陥のない状態でデップ氏と結婚した。しかし、暴力のせいでボロボロにされてしまった。私は、婚前契約を取り交わしておらず、資産に対する権利を持っている。二人の資産の50%を得ることは当然だ」と述べた。
イスに座るデップ氏
ロンドン法廷の裁判官は、ホイットニー・ヘンリケス氏の提出した証言書類を再度読み上げた。それによると、ヘンリケス氏は姉とデップ氏の結婚を否定し、話を進めてはならないと「懇願」していた。
妹が結婚に反対していることを知ったデップ氏は、2015年3月に「階段事件」を起こしたと疑われている。
これは、デップ氏がヘンリケス氏を階段上で叩き伏せ、床に突き落とそうとした事件である。現場にいたハード女史は、妹を守るために立ち向かわなければならなかったと主張している。
これに対しデップ氏の弁護人は、「ハード女史が口に含んだレッドブルを吐き散らし、缶を投げつけた」と反論している。
ヘンリケス氏は「パイレーツ・オブ・カリビアンモンスター」に初めて会った時、姉と海賊男の関係があまりに想像しく、危険な雰囲気を感じたと述べている。
ヘンリケス氏は、姉が暴力を受けていることに当初は気づかなかったという。しかし、ある時を境に姉が喧嘩したことを認め、「あなたを巻き込むかもしれない」と心配していたようだ。
7月23日、同裁判14日目の審議が行われた。
デップ氏の弁護士は、ハード女史が妹のヘンリケス氏を暴行したと主張。その証拠となるビデオを高等法院に提出した。
しかし、この映像は2006年頃に撮影されたテレビ番組撮影中のキャプチャ映像であり、信ぴょう性に欠けるものだった。
その中でヘンリケス氏は、ハード女史に突き倒されたと話している。デップ氏の弁護士は、妹に暴行を振るったハード女史の凶暴性を強調し、今回の問題にも関連していると述べた。
この映像に対し、The Sunの出版元、News Group Newspapers(NGN)のサーシャ・ワス氏は、「この映像はテレビ番組のように見える。日付もなく、ドラマもしくは映画かと思った。なぜこの映像が裁判で役立つと思ったのか、意味不明である」と述べた。
しかし、デップ氏の弁護士は、「この映像は、ハード女史が妹を襲撃し、負傷させたことを示している。姉が妹を叩きのめした、という事実は否定できない」と反論した。
同裁判は7月23日の結審予定から延長戦に突入。結審日は未定である。
Amber Heard: I loved Depp, but he could be a monster https://t.co/cTjhJTvyFo
— Abdullah Rasheed (@Abdulla51773310) July 24, 2020