自宅にとどまることは”悪”ではない。たまにはゆっくりテレビや映画を見る、だらだらアイスを食べるなど、怠惰に過ごしてほしい

世界がロックダウンされ自宅待機が当たり前になった今、私たちはデスクトップや携帯から最新トレンドを入手しツイートする、フェイスブックを更新するなど、ソーシャルメディアに毒されてしまった。NetflixやAmazon Prime Videoを欠かさずチェックしている方も同じである。

しかし、たまには「怠惰」な生活を送ってもよいと思う。1年中、朝から晩までツイッターや映画ばかり見ているのは問題アリだが、全身の力を抜き、リラックスすることも大切である。

私たちは健康に対する医師からの警告に慣れている。「ハンバーガーばかり食べるな」「ビールは控えめに」「塩分を控えなさい」がその代表。医師の警告を聞くとお腹が空いてくるのは私だけではないはず。

医師から警告を受けたその日から、「果物を多めに摂取する」「リンゴやオレンジジュースが身体に良い」「野菜はタップリ、肉は控えめ」などの対策を立案する。そして、それらの継続を誓い、マイルールを壁や冷蔵庫の扉に掲示すれば完璧だ。

しかし、1日ちょっと怠惰な生活を送るだけであれば、マイルールなど無視すればよい。もちろん、健康食品が大好きであれば食べたらいい。また、”たまに”であれば肉をタップリ使ったハンバーガーやステーキを食べても大丈夫だ(馬鹿みたいに食べると体調を崩すので注意)。

仕事、作業、努力は精神的および肉体的な緊張を伴う。それらを可能な限り回避することは理にかなっているし、健康に良いことも確かである。

コロナウイルスに世界を支配された今、多くの方が焦り、仕事を探し、個人事業主であれば店舗を維持するために努力し、結果、眠れない日々を送っている。

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燃え尽きるな

スウェーデンは世界最高レベルのワークライフバランスを実現した国と言われる。国民は自分のライフスタイルを第一に考え、政府や企業もその考えを十分尊重し、様々な施策をとっている。

しかし、完璧なワークライフバランスを実現するためには、短時間で効率的に仕事を処理しなければならない。さらに、それらを時短勤務で達成するためには、徹底した自己管理と努力が求められる。つまり、仕事をうまく処理できないと、大変な目に合うのだ。

世界最高のライフスタイルを確立したスウェーデンの若者たちは、「厳しすぎる職場環境」「自己管理の難しさ」に直面し、それを放棄する。近年、それらは若者の離職率を大きく押し上げた要因のひとつと考えられており、深刻な社会問題になっている。

最高を目指すと、それに耐えられない私のような方は、挫折する。「なるほど、怠惰な生活が一番ですね」と思った方、”それだけ”ではダメだ。

数年前、バージニア大学で興味深い実験が行われた。被験者たちは、人間の注意を引く物(テレビ、パソコン、窓など)を全て取り除いた部屋でゆったり過ごしてほしいと指示された。実験終了後、被験者の大半が昼寝もできず、ほとんどリラックスできなかったと述べた。

今度はその部屋の中にキーボードを押すと感電(少しビリビリするだけ)するパソコンを設置。感電することを被験者たちに伝えた。その瞬間、「ビリビリする?私は絶対に触らない」と誰もが心に誓ったはずだ。

結果、男性の71%、女性の25%が少なくとも1回ビリビリした。ある男性は計190回もビリビリしている。しかし、そういう性的指向があったから感電したわけではない、と190回の男性は説明した。

何もすることがない。これは拷問に等しい苦行である。この実験は少し極端な例だが、”感電を楽しんだ”被験者たちは、何もしないよりビリビリを選んだのである。

サハラマラソン(約230km)やエベレストへの単独無酸素登頂を試みる”超人”たちをイメージしてほしい。彼らは健康やフィットネスの領域をはるかに超えた戦いの中に身を置き、それを楽しんでいる。彼らは間違いなく健康的ではない。極限のプレッシャーとストレスの中に身を置いているのだから。

しかし、彼らは”自分の大好きなこと”に挑戦している。誰かに無理強いされたわけではなく、サハラ砂漠やエベレストで戦いことがたまらなく好きなのだ。私が彼らと同じことをすれば、死ぬ。

自分の望む”何か”へのルートとその難易度は、人によって大きく異なる。1日でゴールできるルートもあれば、30年かけても道半ばというルートも普通にある。

自分の望むゴールが「Netflixのドキュメンタリー映画を5本観賞し、その感想をブログに投稿する」であれば、それを実行するために”努力”すればよい。「たまには何もせず怠惰に過ごす」も一緒である。

コロナウイルスが蔓延し自宅で孤独な時間を過ごしていた時、「何もしなかった」「俺はダメな人間だ」と自分を否定する必要はない。ソファーに寝転がりテレビばかり見ていたとしても、それは人生のちょっとした休憩時間に過ぎない

リラックスするのが好きな方は怠惰に過ごせばいい。腕立て伏せや腹筋が好きな方は、満足するまで筋トレすればいい。サハラ砂漠やエベレストも同じである。要は、自分のやりたいことをムリなく楽しみ、燃え尽きないことが大切なのだ。

ロックダウンは生活を見直す良い機会ととらえることもできる。怠惰を馬鹿にしてはいけない。

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