外出できない、買い物できない、遊びに行けない、しかしテレビゲームはできる
コロナウイルスの大流行により、世界各国でロックダウンが発動。多くの人々が必要な場合を除いて、外出を控えることになった。意識の高い方々は、本を読み知見を広め、筋力トレーニングで筋肉をつけ、たくましく美しいボディを手に入れよう、と奨励している。
毎日同じことを繰り返し(特に好きではないこと)ていれば、必ず飽きがくる。しかし、自由に外出することはできない。そんな時に役立つのがスマートフォンやテレビゲーム機であろう。そして、それらを活用したオンラインゲームはコロナウイルスの影響など微塵も受けず、販売(ダウンロード)数を伸ばしている。
動物の森
任天堂が開発した「動物の森」は、コロナウイルスの感染など心配せず、好きな時に釣りや買い物、様々なアクティビティを楽しめる癒し系育成シミュレーションゲームだ。可愛いキャラクターを操り仮想世界を好きなように探検できる。ロックダウンが続く現代とは真逆のシュチエーションである。
さらに、オンライン通信を利用すれば、他のプレーヤーとコミュニケーションを取ることもできる。遠く離れた異国のプレーヤーと会話(チャット)を楽しめると同時に、情報交換まで出来てしまうのだ。レストラン、バー、レジャー施設、現実世界ではほぼ閉鎖されてしまったが、動物の森の世界では全く関係ない。
バイオハザード
プレイステーション4で発売された「バイオハザードRE3」も順調にダウンロード数を伸ばしているようだ。コロナウイルスが大流行している今だからこそ楽しみたい、と考えるプレーヤーも多い(?)のだろう。主人公の女性ヒロイン、ジルを操り、謎のウィルスが蔓延した都市を救うべく戦う、サバイバルアドベンチャーゲームだ。
パンデミックと「ゾンビ」の恐怖を描いた同シリーズは、全世界で大ヒットし、映画も製作された。コロナウイルスが可愛く思えるほどのピンチ、危険過ぎるシーン、戦いの連続。謎のウイルスに感染した人間はゾンビになり、それに噛まれるもしくは攻撃により外傷を受けると、受けた傷から当人も感染、ゾンビになってしまう。
ゲームのラストは都市に核ミサイルが打ち込まれ、ゾンビたちは消滅。主人公たちはヘリで圏外に脱出、九死に一生を得る、という凄まじい内容に仕上がっている。要はハッピーエンド(?)なので、ストレス発散ゲームとして楽しめば良いだろう。
コロナウイルスの影響など受けない
「イブ・オンライン(EVE Online)」の最高経営責任者であるヒルマー・ペトゥルソン氏はBBCの取材に対し、「ゲームがリリースされた直後のアカウント数は1日当たり約7,000件ずつ増加していた。しかし、3月14日以降は、1日約11,000件ずつ増加している」と語った。
3月14日はスペインでロックダウンが発動された日である。イタリアのロックダウン(3月9日)に続き、欧州が混乱状態に陥り始めた日と言ってもよい。
ペトゥルソン氏は、オンラインゲームが隔離された人々を繋ぐ重要なツールになる、と述べた。さらに、「Netflixなども時間をつぶすツールとして効果がある。しかし、それらはあくまで一人もしくは家族などの小人数で楽しむもの。長時間隔離された人々は、他人とのコミュニケーション、繋がりを切望する」と付け加えた。
イブ・オンラインは高難易度のゲームとして、世界中のプレーヤーから高く評価されている。仮想宇宙を舞台にオンライン上で様々なプレーヤーが助け合い、友情を育みつつ、クリアを目指しているという。
仮想世界の可能性
ロンドンの自宅からバーミンガム大学に通うサリーシャ・グッドマン氏も、仮想世界を楽しんでいるプレーヤーのひとりである。彼女が遊んでいるゲームは「ザ・シムズ(The Sims)」と動物の森だという。
ザ・シムズシリーズは、全世界で2億本近い販売実績を誇る大ヒットゲームである。テーブルゲームの定番、「人生ゲーム」を仮想世界でよりリアルに楽しむ「人生シミュレーションゲーム」だ。
自分の分身となるキャラクターを選び、家を建て生活する。アクションや戦争ゲームとは全く異なり、日常生活と同じようなシーンが展開され、銃も宇宙船もゾンビも出てこない。グッドマン氏は「ゲーム内では、ロックダウンの影響を一切受けず、普通に生活できる。ありふれた生活を楽しめるゲームに助けられている」と述べた。
グッドマン氏は大学3年生。入学以降は勉強中心の生活となり、ゲームをする時間などなかったという。現在はオンラインでの講義、自主学習の合間を見てテレビゲームを楽しんでおり、ストレス発散にもつながっているという。
市場の動向を分析するフューチャーソース・コンサルティングのモリス・ガラード氏は、コロナウイルスの蔓延以降、ゲーム市場の注目度が上昇しており、オンライン上での集団プレイが魅力の「フォートナイト(Fortnite)」や、「コールオブデューティ:ウォーゾーン(Call of Duty:Warzone)」などが特に注目されている、と述べた。
コロナウイルスの蔓延に臆することなく、テレビゲームの製作メーカーは市場に新しい作品を供給し続けている。販売本数は2月以降40%から60%も上昇、自宅に待機せざるを得ない人々の支えになっているようだ。
コロナウイルスが最初に確認された中国でも、同様の傾向が見られる。モバイルゲームの「王者栄耀(Honor of Kings)」は、2月の収益が20%増加したという。
PCゲーム配信サービスを手掛ける「スチーム(Steam)」は、世界中で同時に様々なオンラインゲームを楽しむプレイヤー数が2,380万人に達し、最高記録を更新した。
オンラインゲームのプレイヤーが増加すれば、通信に影響を及ぼすのではないか、と懸念する声もある。しかし、コロナウイルスとの厳しい戦いを強いられている今こそ、人々の支えになる「何か」が必要なのかもしれない。「ゲームは害悪」と意見する者もいるが、正しく楽しめばストレス発散、遠く離れた国にいる他者とのコミュニケーションツールにもなるし、友情を育むことすらできてしまう。
最後に、オンラインゲームを行ううえでの注意事項を下記にまとめた。
・ゲームの時間は適正に
・目を休ませつつ楽しむ
・テレビ、スマートフォンを凝視し過ぎない
・オンライン上には世界中から様々なプレーヤーが集まる。誹謗中傷、脅迫など、他者が嫌がることをしない
・ID、パスワードは大切な個人情報、扱いに注意
・ゲーム上のルール、運営会社の規則を守る
・ワイワイ楽しくプレーする