◎被災地では感染症が蔓延しており、腸チフス、マラリア、デング熱で少なくとも300人が死亡した。
世界銀行は25日、前例のない洪水被害に見舞われたパキスタンに20億ドル規模の支援を提供すると発表した。
パキスタン国家防災管理庁(NDMA)によると、6月中頃以降の洪水死者は1600人を超え、数百万人が避難生活を余儀なくされ、家屋推定50万戸が全壊したという。
世銀の南アジア地域を担当するレイザー(Martin Raiser)副総裁は24日、パキスタンへの公式訪問を終えた後の声明で支援を提供すると発表していた。
レイザー氏は最も深刻な被害を受けた南部シンド州の政府高官と会談し、被災地を視察した。
シンド州には数千の仮設医療キャンプが設置されている。NDMAによると、同州を含む被災地では感染症が蔓延しており、腸チフス、マラリア、デング熱で少なくとも300人が死亡したという。
世界保健機関(WHO)は先週、被災地で感染症が急拡大していると警鐘を鳴らし、国際社会にさらなる支援を呼びかけた。
世銀は25日の声明で、「まずは既存のプロジェクト融資の資金を再編し、食料、避難所、被災者のリハビリ、被災者への給付などの緊急ニーズに対応する」と説明している。
世銀は先週、国連総会のためにニューヨーク入りしたパキスタンのシャリフ(Shehbaz Sharif)首相と会談し、被災地に8億5000万ドルを提供することで合意していた。この支援は25日に発表した20億ドルの中に含まれている。
レイザー氏によると、世銀は州政府と協力してインフラや住宅の再建に向けた準備を進めているという。
レイザー氏は「世銀は生活再建を後押しし、自然災害から市民を守るパキスタン政府の取り組みも支援するために、20億ドル規模の融資を想定している」とした。
政府はこの2ヶ月間、シンド州の被災者を支援するために、約1万人の医師、看護師、その他医療スタッフを現地に派遣してきた。