◎現地メディアによると、最も深刻な被害を受けたドイツ西部とベルギー東部の死亡者は17日時点で188人に達し、少なくとも数十人と連絡が取れていないという。
2021年7月18日/ドイツ西部アルテンアール、アー川にかかる橋(Boris Roessler/DPA通信社/AP通信)

7月18日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は大規模な洪水に見舞われた西部の町を視察し、「厳しい現実を目の当たりにした」と述べた。

14日午後から15日午前にかけて西ヨーロッパの広い範囲で発生した洪水の死亡者は180人を超えた。現地メディアによると、最も深刻な被害を受けたドイツ西部とベルギー東部の死亡者は17日時点で188人に達し、少なくとも数十人と連絡が取れていないという。

被災地に大雨をもたらした低気圧はオーストリアと南ドイツの一部に移動しており、当局は住民に警戒を続けるよう呼びかけている。

メルケル首相は地域に甚大な影響を及ぼしたアー川沿いの町シュールドを視察した。

シュールドの市長はメディアの取材に対し、「この町で死傷者は確認されていないが、他のアー川沿いの町は甚大な被害を受けた」と述べた。シュールドのあるラインラント=プファルツ州アールヴァイラー地区の死者数は17日時点で112人と伝えられている。当局によると、数十人と連絡が取れておらず、犠牲者はさらに増える可能性があるという。

メルケル首相は瓦礫と泥まみれになった町を見てショックを受けたと述べた。「壊滅的な被害にショックを受けています。しかし、復旧作業にあたっている人々の姿を見て、慰められました。住民、救助隊、ボランティア、人々は助け合い、団結しています...」

メルケル首相は、「当局はこの美しい地域を復興させるために全力をあげる」と約束し、政府は7月21日に即時および中期の再建プログラムを速やかに承認すると述べた。

オラフ・ショルツ財務相は18日、ビルト・アム・ゾンターク紙のインタビューの中で、「即時の予算は3億ユーロ(約390億円)以上になる」と明らかにした。また当局は以前の洪水の経験から、長期的な再建プログラムの予算は数十億ユーロにのぼると見込んでいると述べた。

2021年7月18日/ドイツ西部シュールド、住民と話すアンゲラ・メルケル首相(Christof Stache/Pool/AP通信)

メルケル首相は記者団に対し、ドイツは再建プログラムの予算を捻出できると述べた。「ドイツは強い国であり、私たちは被災地の支援を行いながら異常気象に立ち向かうでしょう。中長期的には、政策を通して気候変動に立ち向かいます...」

当局によると、ドイツの死亡者数は17日時点で消防士4人を含む157人、ベルギーでは31人の死亡が確認されたという。

ノルトラインヴェストファーレン州、ラインラントプファルツ州、ザールラント州の政府当局は洪水発生直後に数千人と連絡が取れないと報告したが、大雨と洪水の影響でつながりにくくなっていたインターネットと電話回線がある程度回復したことで、多くの住民と連絡が取れ、行方不明者の数は数十人に減少した。

ラインラントプファルツ州アールヴァイラー地区の温泉街バートノイエナールは住民総出の清掃作業を開始した。

しかし、被災地の住民は水道、電気、ガス、通信設備を遮断されており、地方自治体の速やかな支援を必要としている。

ドイツ、ベルギー、オランダの深刻な被害を受けた地域の天候は回復したが、西ヨーロッパと中央ヨーロッパの他の地域では大雨が続いている。17日遅く、ドイツとチェコの国境周辺、ドイツ南東、オーストリアの一部地域で洪水が確認された。

バチカンのフランシスコ教皇は18日、「洪水の犠牲者と大きな被害を受けた全ての人々を支援するための努力を強く支持する」と述べた。「主は故人を歓迎し、残された者を慰めます...」

一方、ドイツの次期首相候補は被災地を訪問した際にヘラヘラ笑っている姿を激写され、批判の嵐に直面した。

保守的な首相候補のアルミン・ラシェット州知事は、フランク=ヴァルター・シュタインマイアー大統領が犠牲者に哀悼の誠を捧げると表明した最中に同僚とヘラヘラ笑いながら冗談を言っているように見える姿を激写された。

ラシェット州首相は自分の行動を後悔しているとツイートしたが、メディアと政治家はすぐに同氏を非難した。ビルト紙は記事の中で、「国が泣いている時、ラシェットは笑う」と報じた。

2021年7月18日/ドイツ西部バートミュンスターアイフェルの通り(Oliver Berg/DPA通信社/AP通信)
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