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米ワシントン州豪雨、住民の大規模避難進む

州北西部を中心に「大気の川」と呼ばれる湿った空気の流入によって過去数日間で大雨が降り続き、複数の主要河川の水位が歴史的な高水位に達した。
2025年12月11日/米ワシントン州スノホミッシュ、大雨により冠水した道路(ロイター通信)

北西部ワシントン州の広い範囲で大雨による洪水が発生し、住民の大規模な避難が進んでいる。州北西部を中心に「大気の川」と呼ばれる湿った空気の流入によって過去数日間で大雨が降り続き、複数の主要河川の水位が歴史的な高水位に達した。これを受けて州知事は州全域に非常事態を宣言し、住民に避難命令の遵守を強く呼びかけている。

洪水の中心となっているのはスノホミッシュ川やスカジット川、シーダー川など複数の河川で、いずれも平常時を大きく上回る水位となっている。特にスノホミッシュ川では記録的な水位を記録し、決壊の危険が高まっている。これにより沿岸地域の住宅やインフラが広範囲に浸水し、道路の通行が困難になるなど深刻な影響が出ている。

ワシントン州当局は数千人規模の避難を進めており、とりわけスカジット郡に対しては全住民に即時避難命令が出された。現地では州兵が一軒一軒訪問し、避難を促している。また、沿岸地域の約10万人に避難指示や避難勧告が出されており、避難所の設置や救助活動が続いている。

救助活動の一環として、消防や沿岸警備隊は水没した住宅や交通不能となった地域から住民の救出を行っている。あるケースでは洪水で家屋に取り残された住民と犬が救助され、別の場所では車に取り残された人々がヘリコプターで救出されたという報告もある。沿岸警備隊はカナダ国境付近でも洪水の影響を受けた家庭から人々を救出した。

当局は「不要不急の移動を避け、自宅待機や指定された避難所への移動を優先せよ」と強く呼びかけている。

ワシントン州だけでなく周辺のオレゴン州やカナダ・ブリティッシュコロンビア州でも大雨の影響が報告されており、主要道路や鉄道路線が閉鎖されるなど交通網にも大きな影響が出ている。気象当局は一時的に雨は弱まるものの、14日から再び降雨・降雪が予想されており、洪水の脅威は依然として続くとしている。

専門家は今回のような「大気の川」による集中豪雨が将来的にも頻発する可能性を指摘しており、気候変動が極端な気象現象の発生に影響を与えているとの見方も示している。住民や自治体は引き続き警戒を強める必要がある。

大気の川は熱帯や亜熱帯の海から中緯度・高緯度地域へ向かって大量の水蒸気が細長い帯状になって流れる現象である。

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