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米ワシントン州で大雨続く、知事が非常事態宣言「避難命令に従って」

ワシントン州では数日前から雨が降り続いており、今後さらに続く見通しだ。
2025年12月9日/米ワシントン州フォールシティ、大雨により冠水した地区(ロイター通信)

北西部ワシントン州で「大気の川」に伴う集中豪雨により、洪水の危機が差し迫っている。同州知事は10日、水害の恐れが高まっているとして州全体に非常事態を宣言。住民に対し避難命令に従うよう強く呼びかけた。

大気の川は熱帯や亜熱帯の海から中緯度・高緯度地域へ向かって大量の水蒸気が細長い帯状になって流れる現象である。

ワシントン州では数日前から雨が降り続いており、今後さらに続く見通しだ。報道によると、西部の標高の高い地域では10日から11日にかけてさらに100~200ミリの降雨が予想されている。

多くの河川の水位が上昇し、複数の小河川や水路が氾濫したという情報もある。一部では過去に例を見ない規模の洪水になるとの予測も出ている。とくに北部地域では記録的な増水が予測されており、11日午後から12日にかけて、多くの河川の水位がさらに上昇すると予想されている。

ファールシティからカーネーションにかけての地域、さらには周辺の農地、道路、住宅地が浸水の危険にさらされている。

これを受けて、州政府は複数の地域に避難命令を発令。「低地や洪水平野に住む住民は高台へただちに避難を」と繰り返し警告している。15箇所以上の河川観測点で洪水域を超えるとの予報も出ており、うち複数の地点は過去の最高水位を更新する見込みだ。

加えて、この大雨と高水位に伴い、洪水だけでなく土砂崩れ・地滑りのリスクも指摘されている。とくに山岳地や急傾斜地では過去の山火事などで地盤が脆弱化している地域もあり、 多方面での被害懸念が高まっている。

さらに、鉄道や幹線道路への影響も深刻だ。たとえば、雨や増水により、州内を走る貨物鉄道網のうち、主要区間で運休が決定されている。また、冠水で道路が通行不能になった地域も報告されており、物流や日常生活にも深刻な打撃が予想される。

当局は住民に対して「警報に注意」「不要不急の外出を避ける」「避難命令に従う」よう強く求めており、同時に州兵の派遣や避難所の設置といった救援体制の準備を急いでいる。多くの地域で「最悪のシナリオ」に備えるよう呼びかけられており、事態の収束には数日を要する見通しだ。

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