◎国立気象局によると、カリフォルニア州デスバレーのファーニスクリーク砂漠周辺の10日の最高気温は53℃に達したという。9日の最高気温は54.4℃だった。
2021年7月10日/カリフォルニア州ドイル(TRUCKEE MEADOWS FIRE&RESCUE/Getty Images/AFP通信)

7月11日、米国西部に停滞している猛烈な熱波は土地と空気を乾燥させ、山火事の勢いに拍車をかけた。

消防士は炎天下の中、重装備で山を突き進み、炎の進行方向の先にある樹木や茂みを除去しているが、山火事は一向に収まる気配を見せず、場所によっては激しさを増し、民家や車を焼いた。

カリフォルニア州では州間を結ぶ送電線が炎の影響で損傷し電力供給が切迫したため、州政府は住民に節電を呼びかけた。

南西部アリゾナ州では消火活動中の消防飛行機が墜落し、搭乗していた消防士2人が亡くなった。

ネバダ州ラスベガスの10日の最高気温は47.2℃を記録し、観光客は冷房の効いたカジノに吸い込まれ、市民は公園の噴水広場などに集まり、水を浴びた。

消防当局によると、空気が異様に乾燥し気温が高い影響で、消防飛行機の散布する水の多くが地面に到達する前に蒸発するという。

米国西部の猛烈な熱波は山火事だけでなく数百人の突然死を引き起こした。各州の保健当局は熱中症や熱の影響で体調を崩し亡くなったと考えられている人々の検死を進めている。

EUの地球観測プログラムによると、米国西部は統計を取り始めて以来、最も暑い6月を経験したという。

2021年7月10日/カリフォルニア州ユカイアの山岳地帯(Kent Porter/The Press Democrat/AP通信)

アリゾナ州モハーベ郡の農村部地域の山火事を調査していたC-90航空機は10日の正午頃に墜落した。AP通信などによると、当時、周辺では火災積雲と思われる雷雲が発生していたという。

州当局は11日の記者会見で、消火活動と現場調査にあたっていた消防士2人の死亡を確認したと発表した。国家運輸安全委員会(NTSB)は調査員を現地に派遣し、墜落の原因を調べている。

カリフォルニア州では、オレゴン州南部の山火事の影響で州間を結ぶ送電線が送電不能状態に陥った。当局は州内の全ての住民に電力消費を抑えるよう要請している。

カリフォルニア独立系統運用機関は10日の声明で、「火災は山間部の3系統(3線路)を焼き、地域の電力供給に大きな負荷をかけた」と述べた。地元メディアによると、送電線の復旧の目途は立っていないという。

ネバダ州とカリフォルニア州の国境付近では、今年最大の山火事が猛威を振るっている。乾燥と雷の影響で燃え広がった複合火災の燃焼面積は9日から10日で2倍以上に増加したと推定されている。

カリフォルニア州のリサ・コックス火災情報担当官はロサンゼルス・タイムズ紙のインタビューの中で、「山火事の動きを予測することは極めて難しい」と述べた。「異様に暑く、空気が乾ききっている影響で、炎は際限なく燃え広がり、山を焼いています...」

カリフォルニア州とアイダホ州政府は先週、非常事態を宣言した。アイダホ州のブラッド・リトル州知事は声明で、「州兵を動員して消火活動を支援する」と述べた。

国立気象局によると、カリフォルニア州デスバレーのファーニスクリーク砂漠周辺の10日の最高気温は53℃に達したという。9日の最高気温は54.4℃だった。

国立気象局は声明の中で、「こまめに水分を補給し、昼間は極力外出を控えてほしい」と呼びかけた。

南カリフォルニアのパームスプリングスの10日の最高気温は過去最高を更新する49℃、ラスベガスも過去最高の47.2℃を記録した。

昨年西部で発生した大規模な山火事の燃焼面積は約41,000㎢(北海道の2分の1)と推定され、40人以上が死亡し、13,000以上の建造物が灰になり、被害額は2兆円以上に上った。

2021年7月10日/カリフォルニア州ドイル、炎に立ち向かう消防士(Noah Berger/AP通信)
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