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モロッコ中西部豪雨、37人死亡、14人負傷、捜索・救助続く

今回の洪水災害はモロッコ国内で過去数年にわたり続く異常気象の深刻さと、都市部インフラの脆弱性を浮き彫りにしている。
2025年12月15日/モロッコ、中西部サフィ、大雨による洪水が発生した地区(AP通信)

モロッコ中西部の大西洋沿岸に位置するサフィで14日に発生した洪水について、地元当局は15日、これまでに37人の死亡を確認したと明らかにした。

それによると、短時間で猛烈な雨が降り、1時間ほどで旧市街地を中心に住宅や商店が浸水したという。低地で被害が拡大したと伝えられている。

内務省は声明で、少なくとも14人が病院に搬送され、うち2人が重傷と明らかにした。捜索・救助活動は24時間体制で続けられている。行方不明者の有無と被害の全容は明らかになっていない。

ある地区では約70軒の住宅や商店が水没、10台以上の車が押し流された。

被災地の住民は地元テレビ局の取材に対し、「ものすごい雨で、あっという間に水位が上がり、避難の猶予がほとんどなかった」と語った。

一方で、浸水後に政府がポンプ車や排水装置を迅速に配備しなかったことを疑問視する声も上がった。

洪水はサフィだけでなく、他の地域でも確認された。サフィ以外で死者の情報はない。

今回の洪水は同国が長年続く干ばつと高温の影響を受け、土壌が硬化して浸透性が低下している気象条件の下で発生した。このため短時間の豪雨で排水が追いつかず、被害が拡大したと専門家は分析している。気象当局によると、モロッコは近年気候変動の影響で極端な天候が増えており、2024年は観測史上最も気温が高い年となった。

地元当局はサフィの全ての学校を数日間休校とする措置を決定し、被災者への支援物資の配布や避難所の設置を進めている。また、政府や地方自治体は復旧計画を策定し、被害の把握と再発防止に向けたインフラ整備を検討している。住民は泥に埋もれた町で家財の回収や清掃を進めるとともに、再度の降雨に備え警戒を強めている。

今回の洪水災害はモロッコ国内で過去数年にわたり続く異常気象の深刻さと、都市部インフラの脆弱性を浮き彫りにしている。政府は気候変動への対応策として、洪水対策や排水設備の強化など防災インフラの整備を急ぐ必要に迫られている。

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