地球温暖化がアルゼンチンとチリの壊滅的な山火事を招いた=WWA
研究チームは気候変動が今回の山火事のような極めて危険な気象条件を最大で「自然の状態の3倍近く」発生しやすくしたと指摘し、地球温暖化が極端な自然災害を助長していると警告した。
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アルゼンチンとチリのパタゴニア地方で1月に発生した大規模火災について、気候変動が山火事を悪化させたとの研究結果が11日、発表された。研究チームは気候変動が今回の山火事のような極めて危険な気象条件を最大で「自然の状態の3倍近く」発生しやすくしたと指摘し、地球温暖化が極端な自然災害を助長していると警告した。
研究は気候変動と極端気象を分析する国際科学者チームの「ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)」が実施したもので、異常な高温・乾燥・強風という火災リスクが高い気象条件について、現在の気候と人為的な温室効果ガス排出がなかった場合とをコンピューターシミュレーションなどで比較したものだ。これによると、チリ中部と南部で観測された火災発生の気象条件は人間活動がなければ発生しにくい極端な状況だった可能性が高いと結論づけられた。
具体的には、チリでは高リスクの気象が約200%高まったと分析され、アルゼンチンのパタゴニア地方でも火災の危険条件が約150%高まったとされた。これらは過去の気候状態と比べた値であり、地球温暖化による高温と乾燥が強まったためだとしている。
今回の山火事は1月中旬にチリのビオビオ州とニュブレ州で発生し、少なくとも23人が死亡、1000棟以上の建物が焼失し、数万人が避難した。また、アルゼンチン南部では雷による自然発火を契機に火災が広がり、数千人の観光客や住民が避難を余儀なくされ、450平方キロメートル以上の森林が焼失した。世界遺産に登録されているロス・アレルセス国立公園にも延焼した。
研究では、記録的な干ばつと高温が山火事の燃料となる植生を極度に乾燥させ、低湿度の状態が長期化したことが大火発生の背景にあると説明している。また、植生面では火災に弱い単一種のマツ植林が広がることで、地域の自然植生に比べて火が広がりやすくなったとの指摘もある。
報告書はまだ査読付き学術誌での正式公開前だが、WWAは「気候変動が山火事発生のリスクを高めているという明確な科学的証拠が出ている」と述べた。また、温室効果ガス排出が今後も増え続ければ、こうした極端な火災リスクがさらに高まるとの見方を示した。
一方で、対応力にも地域差が出ている。チリは近年山火事対策予算を大幅に拡充し、予測技術や消火装備の強化につなげてきたのに対し、アルゼンチンでは緊縮財政の影響で消防の人員削減や管理計画の遅れが指摘されており、対応力の低下が被害を拡大させた可能性があるとの分析もある。
こうした状況は、世界的な気候変動と自然災害の関係を示す一例として注目され、国際社会や各国政府による気候対策強化の必要性を改めて浮き彫りにしている。将来的な火災発生リスクを抑えるためには、温室効果ガス削減だけでなく、地域ごとの防災計画や植生管理の見直しも不可欠だとしている。
