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ハリケーン・ガブリエルが英領バミューダに接近中、勢力強める

カリブ諸国のハリケーンシーズンは毎年6月から11月末までとされており、特に8月から10月にかけて最盛期を迎える。
2025年9月20日/英領バミューダ沖で発生したハリケーン・ガブリエルの進路予想(NHC/AP通信)

国立ハリケーンセンター(NHC)は21日、熱帯低気圧ガブリエルが勢力を増し、カテゴリー1のハリケーンになったと発表した。

ガブリエルは21日正午の時点で、英領バミューダの南東約515キロに位置し、最大風速は35メートル、ゆっくりとした速度で北西に進んでいる。

NHCは声明で、「ガブリエルは22日夜にバミューダの東方を通過すると予想される」と述べた。

今のところ、警報や注意報は発令されていない。

NHCはガブリエルが今後1日でさらに勢力を強め、来週初めにはカテゴリー3になる可能性があると予測している。

<ハリケーンの勢力>
▽カテゴリー1:風速 33~44(m/s)
▽カテゴリー2:風速 43~49(m/s)
▽カテゴリー3:風速 50~58(m/s)
▽カテゴリー4:風速 58~70(m/s)
▽カテゴリー5:風速 70~(m/s)

カリブ諸国のハリケーンシーズンは毎年6月から11月末までとされており、特に8月から10月にかけて最盛期を迎える。この時期は大西洋やカリブ海での海水温が高まり、大気の不安定さが増すため、熱帯低気圧が発生・発達しやすくなる。通常、気象当局は「大西洋ハリケーンシーズン」と呼び、カリブ地域もその影響下に含まれる。

カリブ海諸国にとって、ハリケーンは毎年のように深刻な被害をもたらす自然災害である。強風による建物破壊や高潮、集中豪雨による洪水や土砂災害は、経済や生活基盤に甚大な影響を及ぼす。特に小規模経済に依存する島国では、観光業や農業が壊滅的打撃を受けるケースが多い。たとえば2017年のハリケーン「イルマ」や「マリア」は、ドミニカや米領プエルトリコを中心に甚大な被害を与え、数千億ドル規模の損失をもたらした。また、同年のプエルトリコでは停電が数カ月続き、医療体制や生活インフラの崩壊が深刻な人道危機を引き起こした。

カリブ諸国はこうした災害に対して警戒態勢を整えているが、財政的余裕やインフラ整備の遅れから十分な対策が難しい。多くの国はハリケーンの早期警報システムを導入しており、住民避難や学校・空港の閉鎖などを迅速に行う体制を築いている。しかし、脆弱な住宅や電力網、上下水道などのインフラが容易に破壊されるため、被害を完全に防ぐことはできない。

気候変動の影響も深刻である。海水温の上昇により、今後はカテゴリー4や5といった「大型ハリケーン」の発生頻度や強度が増加すると予測されている。小国が多いカリブ地域では、1度の大型ハリケーンでGDPの数十%が失われる事態も起こり得る。このため各国は、国際機関や先進国からの支援を受けながら、防災インフラの強化や復興基金の設立に取り組んでいる。

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