スリランカ豪雨、仕事に戻れぬ茶園労働者たち、政府の支援届かず
被災者たちは政府や支援団体が設けた避難所に身を寄せ、支援物資を受け取りながら生活している。
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スリランカ中央高地の茶園地帯で低賃金の労働者らが深刻な貧困と洪水・土砂災害の被害に苦しんでいる。同国では11月下旬の豪雨により各地で洪水や地滑りが発生、死者は640人を超え、100人以上が今も行方不明のままである。
被災者の多くは「マライヤハ・タミル」と呼ばれる少数民族出身の茶園労働者で、イギリス植民地時代に南インドから移り住んだ労働者の子孫にあたる。彼らは茶の輸出を支えているにもかかわらず、日々の収入は最低賃金を大きく下回り、教育や医療、安定した雇用へのアクセスも限られているという。またその多くは土地や住宅を持たず、歴史的に整備が遅れた労働者住宅で家族と共同生活をしている。
先月の豪雨により、山間部で地盤が緩み、茶園労働者の住宅やコミュニティが次々に土砂に飲み込まれた。ある労働者の家族は地滑りで全員死亡し、親族が遺体の捜索を続けているという。別の労働者は雨が降るたびに恐怖を感じていると語り、住環境の危険性を訴えている。
被災者たちは政府や支援団体が設けた避難所に身を寄せ、支援物資を受け取りながら生活している。だが、食料や日用品の不足、今後の住まいの確保など多くの課題が残る。洪水で破壊された地域は広範囲に及び、移動手段やインフラも大きな被害を受けている。
中央政府は被災者への補償や安全な土地への移住を約束している。インドの支援を受けて7000戸の住宅建設プロジェクトも進められているが、かなりの時間がかかる見通しだ。政府は茶園企業とも協力し、新たな居住地の選定や再建計画を協議していると伝えられている。
一方で、労働者たちは早急な支援の必要性を訴えている。ある労働者はAP通信の取材に対し、「ここでは何が起きてもおかしくない」と語り、将来への不安を露わにした。また、支援が遅れる中、茶園の雇用主からは仕事を再開するよう圧力がかっているという声も上がっている。
地球温暖化の影響で極端な気象が常態化する中、専門家や支援団体はスリランカの災害対策や居住地計画の見直しが必要だと指摘している。国際社会には気候変動適応への資金支援が求められており、同国の脆弱なコミュニティが再び災害に見舞われないような取り組みが求められている。
スリランカの茶園労働者たちは日々の生計や安全な暮らしを取り戻すため、国内外の支援を待ち望んでいる状況だ。
