◎今年のエルニーニョ現象は強力であり、ブラジルでは一部地域で大雨となる一方、アマゾンでは歴史的な干ばつが進行中である。
ブラジル南部リオグランデドスル州の広い範囲で発生した洪水について、消防当局は5日、これまでに75人の死亡を確認し、少なくとも103人が行方不明になっていると明らかにした。
それによると、83万9000戸で断水、42万1000戸で停電が発生しているという。
同州では数日前から記録的な大雨となり、州都ポルトアレグレを含む都市部でも冠水被害が報告されている。TVグローボによると、郊外の複数の集落が土砂崩れや道路の冠水により、孤立状態になっている。
地元当局によると、ポルトアレグレの中心部を流れる河川の水位は5日午前の時点で5.33メートルに達し、1941年の大洪水時に記録した4.76メートルを大幅に上回ったという。
州知事室は5日、これまでに70万7000人が被災し、10万人以上が避難を余儀なくされ、うち少なくとも2万人が住居を失ったと報告した。
それによると、今回の洪水による被害は1941年の大洪水を上回り、総額数十億から数百億ドルに達する可能性があるという。
被害の全容は明らかになっておらず、軍・警察・消防が調査している。
ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は7日まで大雨が続くと予測した。
ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は5日、国防相らを引き連れてリオグランデドスル州に入り、被災地を視察。「必要な支援を速やかに提供する」と表明した。
ブラジルでこの規模の洪水が発生したのは過去1年で4回目。23年7月、9月、11月に計75人が死亡している。
今年のエルニーニョ現象は強力であり、ブラジルでは一部地域で大雨となる一方、アマゾンでは歴史的な干ばつが進行中である。