◎冬の間、冷たい空気はPM2.5を閉じ込め、スモッグをより濃く、長持ちさせる。
国連児童基金(ユニセフ)は11日、パキスタン東部パンジャブ州の大気質が劇的に悪化し、同州の子供約1100万人の健康を脅かしていると警告した。
パンジャブ州ラホールは先月末頃からスモッグに覆われ、マスクの着用が義務付けられている。
ラホールの人口は約1400万人。パキスタン第2の都市であり、世界で最も大気汚染がひどい都市のひとつにランクされている。
スイスに拠点を置く企業「IQAir」のデータによると、ラホールの大気質指数はこの数日、800~1000で推移し、危険とされる300を大きく上回っている。1900を超えた日もあった。
ラホールと他の17地区の大気質が危険レバルを超え、この数日で4万人以上が呼吸器系のトラブルで病院を受診した。
ユニセフのパキスタン事務所は声明で、「約1100万人の子供の健康が脅かされている」と指摘。政府に大気汚染を軽減する緊急かつ恒久的な努力を求めた。
大気質悪化の原因は車やバイクの排気ガス、焼き畑、野焼きなど。大気汚染は冬に深刻化することが多く、気象条件などの影響により大気がよどみやすい。
当局はこの事態を受け、道路への散水、環境に有害なレンガ窯の取り壊し、ディーゼル燃料で走行するボロボロの車の使用禁止など、汚染に対処する方策を立案する「スモッグ対策室」を設置した。
ユニセフによると、5歳未満の児童の死亡原因の約12%がスモッグによるものだという。
当局は子供の健康を守る対策の一環として、パンジャブ州の一部地域に17日まで学校を閉鎖するよう命じた。
また当局は州内のすべての公園と博物館を10日間閉鎖するよう命じ、市民に対し、不要不急の外出を控え、屋外ではマスクを着用するよう求めた。
IQAirによると、ラホールの11日の大気質指数は最も悪い地区で800であった。
州政府はマスクの着用を義務付けているが、守っている人は少ない。
国連環境計画(UNEP)は大気汚染により、毎年800万人が呼吸器系の疾患で亡くなっていると推定。微小粒子状物質(PM2.5)を世界の公衆衛生を脅かす最大級の脅威のひとつと評している。
冬の間、冷たい空気はPM2.5を閉じ込め、スモッグをより濃く、長持ちさせる。