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ボスニア首都、世界で最も汚染された都市に、当局が緊急措置講じる

サラエボは山に囲まれた盆地に位置し、地理的条件が大気汚染を一層悪化させている。冷たい空気が地表付近に留まり、車両や暖房からの汚染物質が拡散せずに滞留するため、濃霧やスモッグが数日間続くこともある。
2024年12月19日/ボスニア・ヘルツェゴビナ、首都サラエボの通り(AP通信)

ボスニア・ヘルツェゴビナ当局は17日、首都サラエボの大気汚染が世界最悪レベルに達したとして、緊急措置を講じると発表した。スイスの大気質監視会社IQAirのデータによると、サラエボは今週、2日連続で世界で最も汚染された都市に選ばれた。

サラエボ当局は17日の声明で、濃霧やスモッグによって大気質が「危険」水準に悪化したとして注意報を出し、複数の規制を導入した。具体的には、車両総重量3.5トン超の大型トラックおよびEU排出基準を満たさない自動車の市内走行を禁止し、屋外での建設作業や集会も禁じた。

専門家は大気汚染の主な原因として、約4万世帯が暖房に薪や石炭を使用していることと、18万台に及ぶ車両からの排気ガスをあげている。サラエボでガスストーブを導入した家庭は500戸程度にとどまり、汚染源の大半は固形燃料や交通による排出であるという。

サラエボは山に囲まれた盆地に位置し、地理的条件が大気汚染を一層悪化させている。冷たい空気が地表付近に留まり、車両や暖房からの汚染物質が拡散せずに滞留するため、濃霧やスモッグが数日間続くこともある。

世界銀行によると、ボスニアは欧州で特にPM2.5(微小粒子状物質)の濃度が高い国の一つで、住宅暖房と交通が汚染の主要因となっている。水準を超える日が年間100日以上に達する地域もあるという。

世界保健機関(WHO)のデータでは、同国の大気汚染に起因する死亡率は世界で5番目に高いとされている。また世界銀行は、PM2.5による大気汚染が年間約3300人の早期死亡を引き起こし、GDPの8%以上に相当する経済損失を生んでいると推計している。

専門家たちはPM2.5への長期的な曝露が肺がんや心疾患を含む健康被害を引き起こす危険があると警告し、特に高齢者、子ども、妊婦、慢性疾患を抱える人々への影響が深刻になると指摘している。

サラエボ当局は今回の措置が大気質改善に向けた一時的な対応にすぎないと認めつつも、市民の健康を守るために必要な措置であるとしている。汚染対策には長期的なエネルギー転換や交通管理など包括的な政策が必要であり、市民や専門家はさらなる対策の強化を求めている。

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