◎今年ロシアで発生した山火事は記録的な量の二酸化炭素を排出しており、6月から8月までの排出量(推定500MtCO2)は2019年にイギリスが排出した値をすでに上回っている。
2021年8月6日/ロシア北部シベリアの大部分を覆う山火事の煙(NASA地球観測所/Getty Images/AFP通信)

ロシアの現地メディアによると、北部シベリアで進行中の山火事の燃焼面積は、この夏ロシア以外の地域で発生した全ての山火事を合わせたものより大きいという。

最も被害の大きい地域は首都モスクワの東約3,000kmに位置するサハ共和国(旧ヤクート自治ソビエト社会主義共和国)で、この地域の火災は春の終わり頃から燃え続けている。

サハ共和国の地方当局者は先月18日、「地域の燃焼面積はわずか1日で1,000㎢(東京23区の1.6倍)増加した」と述べていた。

ロシア連邦空中森林保護サービスのサハ共和国支部でパイロットとして働くスビアトスラフ・コレソフ氏は米ABCニュースの取材に対し、「炎の先にある小さな村を守るために消防飛行機を操縦し、何度も水を撒きました」と述べた。「私は1988年から働いていますが、今年の夏は異常です。ひとつひとつの山火事が恐ろしく大きく、人間の力で消火することは困難です...」

サハ共和国周辺で進行中の山火事は推定15,000㎢の範囲に燃え広がっており、非常事態宣言が解除される見通しは立っていない。

シベリアは2017年以来、極度の乾燥と異常な高温に悩まされており、北極圏の最高気温は昨年、過去最高の38℃に達した。

サハ共和国の西で延焼中の山火災を管理するパベル・アリツァコブ氏はABCの取材に対し、「山火事の年間発生数は2017年以前は年に1~2回だったが、今年はすでに30カ所以上で確認されている」と述べた。

グリーンピースロシアによると、今年の全国の燃焼面積は16万㎢(北海道の約2倍)を超えたと推定されているという。現在燃焼中の山火事は、ギリシャ、トルコ、カナダ、アメリカで進行中の山火事を合わせたものより大きい。

ロシア当局は全国で進行中の山火事(推定200カ所)と戦っているが、人口密集地に接近する可能性の低いものは原則放置されている。

グリーンピースロシアは、「今年の山火事は2012年の燃焼記録を塗り替える可能性があり、サハ共和国周辺だけで恐ろしい規模になる」と警告した。

2012年の燃焼面積は数十万㎢と推定されている。2003年にも約20万㎢(本州とほぼ同じ)が焼け野原になった。

ロシアの山火事は世界の気候変動問題の懸案事項のひとつになっている。

山火事は大気中に二酸化炭素やその他の温室効果ガスを大量に排出する。EUのコペルニクス衛星監視ユニットによると、今年ロシアで発生した山火事は記録的な量の二酸化炭素を排出しており、6月から8月までの排出量(推定500MtCO2)は2019年にイギリスが排出した値をすでに上回っているという。

日本の2019年の二酸化炭素排出量は1,108MtCO2。

2021年7月27日/ロシア北部サハ共和国、ベルジゲスチャク村の近くで発生した山火事(Getty Images/AFP通信)
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