アルゼンチン南部で山火事激化、政府の緊縮財政に批判集まる
山火事は主にチュブト州を中心に広がり、強風と高温が消火活動を困難にしている。
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アルゼンチン南部パタゴニア地方で発生した大規模な森林火災が南米各地で激しい批判を巻き起こしている。火災は夏季の自然現象を超えて被害が拡大し、首都ブエノスアイレスの面積の2倍以上に相当する約4万4000ヘクタール(東京ドーム9500個分)を焼失したと報告されている。山火事は主にチュブト州を中心に広がり、強風と高温が消火活動を困難にしている。火災は昨年12月初旬に発生し、ユネスコ世界遺産にも登録されているロス・アレルセス国立公園にも侵入した。ここは樹齢3600年以上とされるアレルセの古木で知られる。
政府は1月29日、被害の深刻なチュブトなど4州で非常事態宣言を出す意向を示し、緊急支援資金の解放や消防隊の機動力強化を図ると発表。延べ6900万ドルの支援を配分し、消防活動を支えるとした。
しかし今回の火災を巡っては、ミレイ(Javier Milei)大統領が打ち出した緊縮財政政策への批判が強まっている。2026年度予算では森林火災の予防と対応を担う国家消防管理サービスへの予算が前年に比べて実質で71%も削減され、これが火災対策能力の低下に直結したとの批判が出ている。環境保護団体や地方自治体は「これらの火災は予見可能だった」として、政府の財政優先方針が災害対応を弱体化させたと非難している。
野党も「政府は非常時の資金よりも予算均衡を何より優先した」と述べ、気候変動リスクへの対応や防災体制の強化がおろそかにされたと批判した。こうした声は、ミレイ政権が気候変動を「社会主義の嘘」と軽視し、パリ協定からの離脱も検討していることへの懸念と結びついている。
火災の被害は森林や生態系だけにとどまらない。多くの地域で住民が避難を余儀なくされ、観光資源を失った地域経済も打撃を受けている。特に古来のアレルセの森が焼失したことは、生物多様性や世界的な自然遺産保護の観点からも深刻な損失と受け止められている。
一方、政府は非常事態宣言を通じて、連邦・州間での連携を強めるとともに、消火活動のための資金と物資の流れを迅速化する方針を示している。しかし、環境団体は根本的な政策転換を求め続けており、今回の火災を契機に防災・環境予算の再評価と気候変動対策を進めるべきだと主張している。
火災の終息は不透明で、地域住民や専門家は気温上昇や乾燥した気候条件が続く限り、再発リスクが高いと警告している。こうした中で、今後の政策のあり方が政権の支持基盤にも影響を与える可能性がある。
