◎大気質悪化の原因は車やバイクの排気ガス、焼き畑、野焼きなど。大気汚染は冬に深刻化することが多く、気象条件などの影響により大気がよどみやすい。
パキスタン東部パンジャブ州政府は15日、スモッグによる大気質悪化が市民の健康を脅かしているとして、健康上の緊急事態を宣言し、2つの主要都市を封鎖した。
パンジャブ州は先月末頃からスモッグに覆われ、マスクの着用が義務付けられている。
同州首相は記者会見で緊急事態を宣言。最大都市ラホールとムルタンへの外部からの立ち入りを制限するとした。
ラホールの人口は約1400万人。パキスタン第2の都市であり、世界で最も大気汚染がひどい都市のひとつにランクされている。
スイスに拠点を置く企業「IQAir」のデータによると、ラホールの大気質指数はこの数日、400~700で推移し、危険とされる300を大きく上回っている。
この影響により、過去1カ月で200万人近くが病院を受診。その多くが喉や目の不調を訴え、数千人が入院した。
地元メディアによると、呼吸器系の不調を訴える患者の大半が子供と高齢者だという。
政府の緊急事態宣言により、医療スタッフの休暇はすべて取り消され、教育機関は追って通知があるまで閉鎖され、レストランは午後4時に閉店。テイクアウトは午後8時まで可能だ。
州政府はSNSにも声明を投稿。「不要不急の外出を控え、マスクを着用してください」と書き込んだ。しかし、ラホール市内でマスクを着用する人はほとんどいない。
IQAirによると、ラホールの15日の大気質指数は600を超えた。しかし、気象台によると、ラホールは今後数日、雨と風が強まると予想されており、スモッグも収まる見込みである。
大気質悪化の原因は車やバイクの排気ガス、焼き畑、野焼きなど。大気汚染は冬に深刻化することが多く、気象条件などの影響により大気がよどみやすい。
国連環境計画(UNEP)は大気汚染により、毎年800万人が呼吸器系の疾患で亡くなっていると推定。微小粒子状物質(PM2.5)を世界の公衆衛生を脅かす最大級の脅威のひとつと評している。
冬の間、冷たい空気はPM2.5を閉じ込め、スモッグをより濃く、長持ちさせる。