◎少なくとも30万戸の建造物が全壊または損壊し、数百の橋が流された。
2022年8月28日/パキスタン、南西部バルチスタン州ジャファラバードの集落(Zahid Hussain/AP通信)

パキスタン政府は28日、6月中旬以降の洪水災害による犠牲者が1000人を超え、さらに増加する可能性が高いと警告した。

パキスタン国家防災管理庁(NDMA)はこの災害を「壊滅的」と評し、少なくとも30万戸の建造物が全壊または損壊し、数百の橋が流されたと報告した。

軍・警察・消防は南西部バルチスタン州や南部シンド州などで被災者の救助・支援活動を続けている。

国会の気候対策部門を率いるレーマン(Sherry Rehman)上院議員は28日、自身も被災したとツイッターに投稿。「パキスタンは気候の大災害に見舞われ、この10年で最も厳しい状況に直面している」と警告した。

またレーマン氏はパキスタンを異常気象の「爆心地」と呼び、数千万人が未曽有の大災害に巻き込まれているとツイートした。「パキスタンは世界各地で報告されている熱波、森林火災、大洪水、氷河の決壊などの中心にいます...」

レーマン氏は北西部カイバル・パクトゥンクワ州の自宅が水没したため、妻と3人の子供を連れて首都イスラマバードの高速道路に避難した。

国営テレビPTVによると、カイバル・パクトゥンクワ州では河川堤防の決壊が複数カ所で確認され、数十万人が仮設キャンプ場に避難したという。

同州政府は2つの地区の市民推定33万人が避難を余儀なくされ、その多くが道端で一夜を明かし、水と食料を求めていると報告した。

レーマン氏は水没した地域からイスラマバードまで避難できたことに感謝する一方、多くの市民が自宅・土地・農作物を失い、助けを求めていると訴えた。

未曽有のモンスーンは4つの州の広い範囲に大雨をもたらした。NDMAはこれまでに建造物少なくとも30万戸が全壊または半壊し、多くの道路が通行不能となり、数百の橋が流され、広い範囲が停電し、数千万人が影響を受けたと報告している。

トルコのニュースサイトTRT Worldは28日、政府高官の話を引用し、「梅雨が終わる頃にはパキスタンの4分の1から3分の1が水没している可能性がある」と報じた。

報道によると、被災した州の多くの地域で雨が止んだ後も水が引かず、衛生状態の悪化が懸念されるという。

政府は今週、非常事態を宣言し、全国で捜索・救助活動を行っている警察と消防を支援するために兵士数千人を動員した。

軍報道官によると、これまでに兵士6000人以上が被災地に派遣され、市民4万人以上を避難させたという。

シャリフ(Shehbaz Sharif)首相は28日、バルチスタン州ジャフェラバード郊外の集落を訪問し、被災者の支援に全力を挙げると約束した。

2022年8月28日/パキスタン、南部シンド州の避難所(Pervez Masih/AP通信)
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