◎6月中旬以降の大雨がもたらした洪水の犠牲者は1735人に達し、3300万人が避難を余儀なくされた。
パキスタン当局によると、今夏の大水害に見舞われた避難者の多くが自宅に戻ったが、最も大きな被害を受けた南部シンド州ではまだ5万人弱が避難生活を余儀なくされているという。
パキスタン国家防災管理庁(NDMA)は1日、シンド州の仮設キャンプにとどまっている市民は9月の約50万人から大幅に減少したものの、まだ5万人弱が自宅に戻れずにいると報告した。
NDMAによると、6月中旬以降の大雨がもたらした洪水の犠牲者は1735人に達し、3300万人が避難を余儀なくされた。シンド州で影響を受けた市民は約1200万人。796人の死亡が確認されている。
政府は国際社会に対して、被災地への支援を拡大するよう求めている。
世界銀行は被害額を400億ドルと見積もっているが、レーマン(Sherry Rehman)気候変動相は先月の記者会見で「復興にはそれをはるかに超える費用がかかる」と警告し、国際社会に重ねて支援を呼びかけた。
この地域の住民は前例のない厳しい冬がやってくることに懸念を示している。
パキスタン政府はこの災害が発生する前から債務の処理に苦労していたため、被災地の復興と支援に予算を割り当てられずにいる。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は先週、シンド州とバルチスタン州の一部地域ではまだ水が引かず、衛生状態の悪化が懸念されると警告した。
国連によると、この水害で農地400万エーカー(東京都面積の7.5倍)が破壊されたという。
被災地の農作物は大きな被害を受けたが、OCHAは全国の小麦畑の約98%が次の作付けシーズンを迎えることができると推定している。