◎政権は先週、気候変動対策の一環として、家畜がげっぷやオシッコをした際に発生する温室効果ガスに課税すると提案した。
ニュージーランドの農家は20日、家畜のげっぷやオシッコに課税する政府の計画に抗議するデモを開いた。
地元メディアによると、デモはかなり大規模になると予想されていたが、最大都市オークランドの中心部に集まった農家は数百人にとどまったという。
デモを主催したロビー団体「グラウンドスェル・ニュージーランド(Groundswell New Zealand)」は50以上の都市や町でデモを行ったと報告している。
アーダーン政権は先週、気候変動対策の一環として、家畜がげっぷやオシッコをした際に発生する温室効果ガスに課税すると提案した。
政府によると、これは世界初の試みであり、農家は気候変動にやさしい製品を販売することでその費用を回収できるという。
政府のホームページによると、国内で飼育されている牛の頭数は約1000万頭、ヒツジは約2600万頭。同国が排出する温室効果ガスのほぼ半分が農業部門から排出されている。NZの人口は約500万人。
しかし、一部の農家は燃料や家畜のエサ代高騰に悩まされている今、この税金を導入すれば、多くの農家が廃業に追い込まれ、食料自給率は低下し、食品の輸入を増やすことで多くのコンテナ貨物船が必要となり、結果として温室効果ガスの排出量は増加すると主張している。
首都ウェリントンの抗議デモに参加した男性はAP通信の取材に対し、「参加者が少ないことに失望した」と語った。
地元メディアによると、ここ最近好天が続いているため、多くの農家が農作業に励んでいるという。
オークランドのデモに参加した男性は「私たちは悪者にされている」と憤慨した様子で語った。「私たちはこの国のために働いてきました。農家は皆、貧乏ですが、私たちはこの仕事を愛しています。本当に腹立たしいです。どうして私たちを悪者にするのですか?多くの農家は何世代にもわたって...」
別の男性は、「げっぷ1回1ドル、オシッコ1回5ドルと言われて喜ぶ家畜はいない」と語った。「課税されたら私はやめます。多くの農家がげっぷとオシッコで破滅するのです。NZは終わりだ....」
農業はNZ経済の要石であり、その中でも最大の輸出品である乳製品は中国を含む多くの国が購入している。
グラウンドスェル・ニュージーランドによると、コロナのロックダウン中、農家はほとんど自力で危機を乗り超えたという。しかし、コロナの後にやってきたロシアのウクライナ侵攻による世界規模の燃料・肥料・エサ代の高騰は農家に大打撃を与え、さらにげっぷ&オシッコ税まで導入される可能性がある。
アーダーン(Jacinda Ardern)首相は2050年までにカーボンニュートラルを達成すると公約している。その計画の中には、家畜が排出するメタンガスの排出量を2030年までに10%、2050年までに最大47%削減することが含まれている。
政府は農家や他の団体と協力し、全員が納得できる排出計画を打ち出そうとしてきた。しかし、多くの農家が政府の最終案に憤慨している。一方、環境活動家は「もっとできる」と政府を非難している。
最新の世論調査によると、アーダーン氏率いる労働党の支持率はこの数カ月低迷しており、最大野党の国民党に遅れをとっている。
アーダーン政権はかなりの政治的影響力を持つ農業団体の怒りを買っているため、次の議会選で厳しい現実に直面するかもしれない。次の議会選は2024年1月までに行われる。