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ハリケーン・メリッサ上陸から2か月、カリブ海北部で飢餓と避難生活続く

メリッサは10月、記録的な強さを持つカテゴリー5のハリケーンとして北カリブ地域を直撃し、甚大な被害をもたらした。
2025年10月29日/ジャマイカ、首都キングストン郊外の地区(AP通信)

ハリケーン・メリッサによる甚大な被害からほぼ2カ月が経過したにもかかわらず、カリブ海北部では飢餓や仮設シェルター生活が依然として続いている。

メリッサは10月、記録的な強さを持つカテゴリー5のハリケーンとして北カリブ地域を直撃し、甚大な被害をもたらした。

ハイチ南部でAP通信の取材に応じた女性はかつて自宅があった場所を指し示しながら、洪水と強風で家を破壊された当時の恐怖を語った。洪水は道路や家屋を押し流し、農地やインフラを壊滅させ、住民たちは何も持ち出すことなく避難するほかなかったという。

メリッサはハイチ全土で少なくとも43人の命を奪い、特に南部で致命的な洪水が広範囲に発生した。大量の土砂や泥が町を覆い、住民たちは重機を用いて瓦礫を取り除きながら再建に取り組んでいるが、生活再建は容易ではない。

食料不足も深刻で、国連世界食糧計画(WFP)はハイチ全土で約530万人が日々十分な食料を得られていないと推定。被災者の多くが元々プランテンやトウモロコシ、豆などの農作物に依存した農村コミュニティ出身であり、収穫物を失ったことが家計と生計に深刻な打撃を与えている。

隣国ジャマイカも大きな影響を受け、メリッサの上陸によって推定88億ドルの被害が出たとされる。当局は少なくとも45人が死亡、13人が行方不明であると報告している。保健当局は動物由来の感染症レプトスピラ症の確定例を含む健康問題が報告され、少なくとも12件の関連死が発生。破傷風の症例もあり、1人が死亡した。

ジャマイカでは7つの教区で100以上の避難所が稼働し、1000人以上が避難生活を続けている。また160の学校が閉鎖されたままで、復旧と再建への長い道のりが続いている。

ジャマイカ政府は電力の完全復旧を来年1月末までに目指し、地域開発銀行や国際通貨基金(IMF)、世界銀行などから計67億ドル規模の復興資金パッケージを確保している。

一方、キューバ東部でも数百人が仮設シェルターで生活を続け、約5万3000人が自宅に戻れない状態にあると国連は報告している。

WFPはカリブ海地域全体で約130万人が食料や安全保障、その他支援を必要としていると推定し、これまでに約72万5000人を支援したが、支援要請額8300万ドルの調達率は50%にとどまっているとして、さらなる国際的支援の必要性を訴えている。

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