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モロッコ政府、洪水被災地に軍投入、数万人避難

今回の洪水は数週間にわたる記録的な降雨とダムの放水が重なったことで発生し、主要河川の水位が急激に上昇したことにより、クサール・アルケビール市内の複数の地域が冠水した。
2026年1月31日/モロッコ北部(AP通信)

モロッコ政府は1月31日、豪雨と河川の増水による洪水被害を受け、国軍の救援部隊を同国北西部に投入したと発表した。今回の洪水は数週間にわたる記録的な降雨とダムの放水が重なったことで発生し、主要河川の水位が急激に上昇したことにより、クサール・アルケビール市内の複数の地域が冠水した。洪水は首都ラバトの北方約190キロメートルの地域を中心に甚大な被害をもたらした。

国営メディアによると、軍の救援部隊は浸水地域で住民の避難、救助、物資輸送などを行っており、これまでに2万人以上が避難所や仮設キャンプに移動した。避難者の多くは家屋や生活基盤を失い、政府は学校や公共施設を一時的な避難場所として開放している。クサール・アルケビールの学校は安全確保のため2月7日まで休校措置が取られている。

シディ・カセム州でも河川の水位上昇により、いくつかの集落で避難が進められ、当局は警戒レベルを引き上げて地域住民に注意喚起を行っている。洪水の影響で道路やインフラが寸断されるなど、救援や生活再建に向けた課題が山積している状況だ。

今回の洪水は、長年続いた干ばつの後に訪れた大雨によって引き起こされた。モロッコでは過去7年間にわたり深刻な水不足が続き、政府は海水淡水化プラントの増設など水資源対策を進めてきたが、これらの降雨は一部地域でダムの貯水量を急増させる結果となった。公式データによると、主要な貯水池の平均貯水率は60%に達し、一部では満杯になっていたという。このためダムの放水が避けられず、洪水を悪化させた面もあると見られている。

中央政府は災害対応の一環として、軍と民間救援組織の連携強化を進める方針を示している。また政府は救援活動の最優先事項は住民の安全確保と人道支援であり、今後も水位の監視を継続しつつ被災地域の復旧に全力を挙げると述べた。大雨による洪水は昨年末にも発生し、大西洋沿岸の都市では12月に37人の死者が出たと報じられている。このため、気象当局や災害対策本部はさらなる降雨の可能性に備え、警戒を呼びかけている。

洪水被害が拡大する中、被災住民や地域社会には深刻な影響が出ており、今後の支援体制の充実が求められている。モロッコ国内外の人道団体も支援活動を強化し、緊急物資の供給や仮設住宅の設置など、被災者生活の安定化に向けた取り組みが進められている。政府は復旧・復興計画についても検討を進め、被災地域の早期再建を目指している。

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