東南アジア大水害、死者1300人超、インドネシア、スリランカ、タイで救助活動続く
専門家らは、こうした極端な気象と災害の多発は地球温暖化や気候変動の影響だけでなく、違法伐採や無秩序な土地開発といった人為的な環境破壊も大きな要因であると指摘する。
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東南アジアで先週から続く豪雨とそれに伴う洪水・土砂崩れにより、インドネシア、スリランカ、タイなどで甚大な被害が出ている。
関係当局によると、これまでに少なくとも1300人以上の死亡が確認され、行方不明者は1000人近くに上っている。
特に被害が深刻なのはインドネシア・スマトラ島で、洪水や土砂崩れにより、多くの住民が家屋の屋根や木の上などに取り残され、救助が間に合わず被害が広がった。
インドネシアの国家防災庁(BNPB)は2日、これまでに744人の死亡を確認し、551人が行方不明になっていると報告。橋の崩落や道路の流失により、ヘリコプターや船などを使った救助が続き、悪天候と損壊したインフラが救助の遅れを招いている。
さらに、被災地では大量の木材が洪水で流されるなど、森林破壊後の地盤の脆弱化や違法伐採の影響を指摘する声もある。ある環境団体は「今回の災害は自然だけの問題ではなく、人為的な環境破壊による“人災”だ」と警鐘を鳴らしている。
スリランカでは熱帯低気圧と発達した前線の影響で豪雨・土砂災害が広がり、少なくとも410人が死亡、336人が行方不明になっている。
特に中部や丘陵地帯で土砂崩れが多発し、住民の避難や安否確認に支障が出ている。被災した地域では断水が続き、住民は自然湧き水やボトル水による生活を余儀なくされており、水と医療、それに避難所の整備が急務となっている。
タイの被害も甚大で、洪水により181人の死亡が確認された。多数の世帯が浸水などの住宅被害に見舞われた。被災者は数百万人に及び、公共インフラの損壊、停電、道路の寸断などで復旧には時間がかかる見通しだ。一部地域では炊き出しや支援金の配布など、初期の救援活動が始まっているものの、住民たちの不安は根強い。
この災害による被災者は数百万人にのぼり、一時避難所での生活や食料、水、医療の不足が深刻化している。国際機関や各国政府が支援を表明しており、緊急援助物資や医療チームの派遣が進められている。だが、道路・橋などの破壊により支援物資の輸送にも多くの困難が伴っており、被災地の完全な救援・復旧には長期の取り組みが必要とされる。
専門家らは、こうした極端な気象と災害の多発は地球温暖化や気候変動の影響だけでなく、違法伐採や無秩序な土地開発といった人為的な環境破壊も大きな要因であると指摘する。
今回の惨状は自然災害の枠を超えた「制度的」「構造的」な問題を浮き彫りにしており、復旧後には環境保護と防災の両面から根本的な見直しが求められるだろう。
被害の拡大、被災地の孤立、資源の不足。この冬、東南アジアの広範囲で未曾有の水害が進行中であり、国際社会と各国政府の協力、そして被災地への迅速かつ継続的な支援が急務となっている。
