パキスタン東部豪雨、新たに30万人避難、インド国境で大雨続く
パンジャブ州では8月28日、豪雨と隣国インドのダム放流により3つの主要河川がほぼ同時に氾濫。2300を超える集落が洪水に見舞われた。
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パキスタン東部パンジャブ州の洪水被災地で行方不明者の捜索活動が続いている。
国家防災管理局(NDMA)は3日、パンジャブ州ラホールなどの主要都市で新たに30万人が避難を余儀なくされたと明らかにした。
それによると、同州内で避難所などに身を寄せている市民は130万人を超えたという。
パンジャブ州では8月28日、豪雨と隣国インドのダム放流により3つの主要河川がほぼ同時に氾濫。2300を超える集落が洪水に見舞われた。
この結果、100万人以上が避難を余儀なくされた。当局によると、数十万棟の家屋が浸水し、数十平方キロメートルの田畑が泥に覆われ、途方もない量の農作物(主に小麦)が被害を受けたという。
パンジャブ州は同国最大の小麦生産地であり、2022年の大水害でも甚大な被害を受けた。
パキスタンでは6月26日以来、大雨に関連する災害で約900人が死亡(3日時点)。パンジャブ州では200人以上の死亡が確認された。
地元メディアによると、ラホール近郊では数十の集落がほぼ水没。水の高さが2メートルに達した場所もあったという。
インド国境近くの町も大きな被害を受けた。
インドが管理する北部の係争地カシミール地方でも数百人が死亡している。
両国の被害の全容は明らかになっておらず、中央政府と関係自治体が調査している。
インド北部ジャンムー・カシミール州で先月中旬に発生した洪水と土砂崩れでは300人以上が死亡。150人以上が行方不明になった。
パキスタン当局はラホールを守るため、氾濫した河川の一部を農地へ迂回させる緊急工事を進めている。
パンジャブ州のNDMA事務所によると、数千人の救助隊員がボートを使って救援・救助活動に参加しているほか、軍も冠水した集落から人や家畜を輸送しているという。
インド当局は2日と3日、北西部の広い範囲で大雨が続き、パキスタン東部にも影響が出る可能性があるとして、パキスタン側に洪水に備えるよう促した。
インド当局はダムの緊急放流を行う場合は遅くとも30分前に警告を出すとしている。
パキスタンの雨季は7月から9月末頃まで続く。
パキスタンは地球温暖化の影響を受けやすい国のひとつである。北部の広大な氷河が溶けることで川の水位が上昇。雨季は温暖化の影響でより長く、より強力になった。
国土の3分の1が水没した2022年の大水害では1739人が死亡、200万戸以上の家屋が損壊した。