◎国内最長の河川ポー川を含む農業に欠かせない重要河川の水量が激減し、農作物を脅かしている。
イタリア政府は4日、北部地域の広い範囲に干ばつ非常事態宣言を発令し、深刻な水不足に直面する農家に支援を提供すると発表した。
北部ミラノを含む多くの地域で気温が上昇し、ここ数カ月ほとんど雨が降っていない。
政府は4日遅くの臨時閣議で非常事態宣言と農家への支援を承認した。
イタリアの農業組合(Copagri)は先月末、国内最長の河川ポー川を含む農業に欠かせない重要河川の水量が激減し、農作物を脅かしていると警告していた。
地元メディアによると、ポー川の水は水田、農地、牛の放牧地などに利用されている。北部地域の酪農家はイタリア料理に欠かせない「パルミジャーノ・レッジャーノ(Parmigiano Reggiano)チーズ」を作っている。
ボー川の水位は過去70年間で最も低くなり、川底がむき出しになった地点も確認されている。
干ばつ非常事態宣言の対象地域はロンバルディア州を含む北部の5州。政府は声明で、「ポー川流域や東部アルプスの干ばつの影響を考慮し、対象地域を決めた」としている。
ヴェネト州の一部自治体は給水制限を開始している。ミラノは公共の装飾用噴水の栓を閉める条例を施行した。
中南部地域も熱波と干ばつの影響を受け始めている。
首都ローマの市内を流れるテベレ川では川底に生えた植物が水面に顔を出し、浅瀬にはゴミが浮いているのが見える。
テベレ川で遊覧船を運航している男性はAP通信の取材に対し、「信じられない」と語った。「私は40年船頭をしていますが、こんなに水位が下がったのは初めてです...」
国立研究機関CNRによると、今年上半期の降水量は過去30年の平均の半分に満たないという。
アルプス山脈のマルモラーダ(Marmolada)山で3日に発生した氷河の崩落事故も熱波の影響と考えられている。