◎フランスの気象台はマヨット島の広い範囲で50~60メートルを超える暴風が観測されたと報告している。
アフリカ南東部・インド洋に位置するフランスの海外県マヨット島に大型のサイクロン・チド(Chido)が上陸し、当局が被害状況を調査している。
県知事は15日の声明で、「1万戸以上の家屋が全壊または損壊したとみられ、死者数は数百人に上る可能性がある」と明らかにした。
チドは14日にマヨット島を横断。15日午後の時点でアフリカ本土のモザンビーク沖に位置している。
現地メディアによると、島内の複数の地区で多くの掘っ立て小屋が倒れたり、屋根が吹き飛ばされたりしたという。
フランスの気象台はマヨット島の広い範囲で50~60メートルを超える暴風が観測されたと報告している。
マヨット島の人口は約32万人。フランスで最も貧しい県のひとつであり、島民の75%が貧困ライン以下での生活を余儀なくされ、失業率は30~35%で推移している。
ロイター通信によると、市中心部の通りには支援物資を求める市民が長蛇の列を作っている。
ロイターの取材に応じた男性は「私の住む地区の小屋はほぼすべて倒壊し、地区全体がぺったんこになってしまった」と語った。
近くの学校に避難していたという女性はAP通信の取材に対し、「ものすごい風で、生きた心地がしなかった」と述べた。
フランス政府は本土から救援隊と物資を送るとしている。
被害の状況は明らかになっていない。現地メディアは当局者の話しとして、「15日午後の時点で20人の死亡が確認され、行方不明者の捜索が続いている」と報じた。
アフリカ南東部・モザンビーク政府は15日、沿岸部の市民に改めて警戒を呼びかけた。当局は最大で250万人が被災する可能性があると警告している。
内陸のマラウイとジンバブエでも雨と風が強まると予想されている。
マラウイ当局は東部地域で大雨が予想されているとして、一部地域の住民に避難準備を進めるよう勧告した。
ジンバブエ当局も東部の市民に対し、避難準備を整えておくよう促した。
マヨット島はコモロの北西約70キロに位置する。