◎ハイチ政府は未曽有の経済・安全保障危機に直面しており、洪水被災地への支援は国連などの人道機関に頼り切っている。
中米ハイチ当局は5日、首都プルトープランスを含む広い範囲で週末に発生した洪水被害について、これまでに42人の死亡を確認し、少なくとも11人が行方不明になっていると報告した。
政府報道官によると、2~3日にかけて西部、北西部、南東部、中央部の広い範囲で大雨となり、複数の河川が氾濫したという。
洪水関連の負傷者は100人近くに達し、民家1万3600戸が浸水被害に遭ったと推定されている。被害の全容は明らかになっていない。
ハイチ政府は未曽有の経済・安全保障危機に直面しており、洪水被災地への支援は国連などの人道機関に頼り切っている。
AP通信によると、被災地の田畑は壊滅的な被害を受け、多くの市民が食料と水の確保に苦労しているという。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。国連はこの争いで民間人数百人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。
ギャングはポルトープランスの8割を支配下に置いたと推定されている。
世界食糧計画(WFP)によると、今回の洪水で数万人が避難を余儀なくされたという。最も大きな被害を受けたのはポルトープランスおよび西部と伝えられている。
政府報道官は「本格的なハリケーンシーズンが始まる前にこのようなレベルの天災に見舞われたことを遺憾に思う」と述べている。
アンリ(Ariel Henry)首相はSNSに声明を投稿。国際社会に支援を呼びかけた。