◎G20の2021年の温室効果ガス排出量は前年に比べて増加する見込み。
10月13日に公開された気候透明性ハイライトレポート2021によると、G20の2021年の温室効果ガス排出量は前年に比べて増加する見込みだという。
レポートによると、2020年の世界の温室効果ガス排出量はコロナウイルスの影響で2019年から6%減少したが、今年のG20の排出量はグループ全体で4%上昇する見込み。
インド、アルゼンチン、そして中国の排出量は2019年を上回ると予想されている。
レポートに関与した専門家たちは、化石燃料の継続的な使用が気候変動を抑える努力を弱体化させていると述べた。
10月31日に開幕するCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)は、温室効果ガスの純排出ゼロと地球の気温上昇を産業革命以前の平均気温プラス1.5℃に維持することを目標としており、参加する40カ国以上により野心的な気候変動対策を実行するよう促す。しかし、交渉担当者は厳しい現実に直面すると予想されている。
プラス1.5℃以内を維持するためには、炭素を最も多く輩出している主要先進国の努力が欠かせない。
しかし、公開されたレポートは明らかに努力が足りないことを示している。
G20の温室効果ガス排出量は世界の総排出量の約75%を占めていたが、昨年のコロナウイルス感染拡大で排出量は大幅に減少し、インドと中国の一部地域ではどんよりと曇った大気が改善された。
レポートによると、今年のリバウンドは石炭火力の稼働率の増加が牽引しているという。G20全体における今年の石炭の使用料は、前年から5%増加すると見込まれている。
G20内で最も石炭を消費している国は中国でグループの総使用量の約60%を占め、米国とインドの使用量も増加した。
石炭の価格は世界経済の急速な回復に伴う需要の増加で高騰し、1年前のほぼ2倍に達した。
中国政府は今週、一部地域で続いている計画停電を終了させるために方針を一部変更した。これにより、国内の石炭火力発電所の稼働率はさらに上昇すると見込まれている。
天然ガスの使用量も確実に増加している。レポートによると、G20全体の2015年から2020年までの間の天然ガス使用量は約12%増加したという。
レポートは豊かな国々が太陽光発電と風力発電を前向きに採用していることを示した。データによると、豊かな国の総発電量における再生可能エネルギーの割合は、2020年は約10%だったが、2021年は12%まで増加したという。
COP26に参加する国々は、本会議前に新しい炭素排出削減計画を提出すると約束していた。しかし、主要メディアによると、インド、オーストラリア、サウジアラビア、そして中国は未提出だという。
中国とインドは本会議前に温室効果ガスの削減に向けた新しい国家計画を発表すると期待されており、プラス1.5℃以内の達成に向けた世界の努力を後押しする可能性がある。
<COP26の主要原則>
・温室効果ガス純排出ゼロに向けた持続可能な復興の推進
・野心的で実行可能な気候変動対策(ロードマップ)の策定
・情報共有によるトランジションの促進
・温室効果ガス純排出ゼロ達成に向けた各産業ごとの脱炭素化とイノベーションの加速
・官民による投資促進
・人々を中心とするトランジションの支援
・新たなエネルギーシステムにおけるエネルギー安全保障の確立