◎これまでに消火活動にあたっていた消防士1人が死亡し、少なくとも20人が病院で治療を受けた。
8月7日、ギリシャ政府は全土で延焼し続けている山火事を制御するために1,000人以上の消防士を現地に派遣し、住民数千人を避難させたと述べた。
消防当局によると、首都アテネや人気観光地のクレタ島を含む各地で発生した山火事は強風の影響で延焼する可能性が高いという。
ギリシャは過去数十年で最悪の熱波に直面しており、山間部の乾燥状態はしばらく続くと予想されている。これまでに消火活動にあたっていた消防士1人が死亡し、少なくとも20人が病院で治療を受けた。ここ数日の最高気温は40℃を超え、消防士たちは熱中症のリスクと戦いながら消火や避難のサポートにあたっている。
首都アテネの消防本部を訪れたキリアコス・ミツォタキス首相は、犠牲になった消防士とその家族に哀悼の意を表した。
ミツォタキス首相は演説の中で「政府の最優先事項は人命を守ること」と強調し、避難命令の出ている地域の住民に自分と家族の命を守る行動を取るよう呼びかけた。「この悪夢のような夏を皆で乗り越えましょう。私たちは地域の復興と自然環境を回復するための取り組みに全力をあげます...」
欧州森林火災情報システムによると、過去10日間の燃焼面積は560㎢(神戸市とほぼ同じ)を超えたという。
消防当局は、「過去24時間の間に数十の山火事が発生し、ギリシャ第二の島エヴィア島の状況が最も深刻」と述べた。またオリンピック発祥の地であるペロポネソス半島の古代オリンピアやアルカディアの近くでも延焼が続いていると伝えられている。
エヴィア島の沿岸警備隊はAP通信の取材に対し、「島の北にフェリーを10隻を待機させており、避難の準備は整っている」と述べた。AP通信によると、これまでにエヴィア島の住民2,000人以上が島外に避難したという。
首都アテネの北約35kmに位置するパルニサ山で発生した山火事の煙は市街地全体に広がり、当局は専用のホットラインを開設した。
8月5日以来、延焼地域周辺の住民数千人が避難を余儀なくされたが、消防当局の消火活動が功を奏し、炎の勢いは弱まったと伝えられている。しかし、気象当局によると、今後数日間は風の強い日が続くと予想されており、炎は勢いを取り戻す可能性が高いという。
政府の避難命令に従ったという男性とガールフレンドはAP通信の取材に対し、「新築住宅を購入したが、一晩しか過ごせなかった」と述べた。「住宅を保護するために庭の木を切り倒しました...」
ギリシャ政府はEUの緊急支援システムを通じて各国に支援を要請した。これまでにフランス、スペイン、ウクライナ、キプロス、クロアチア、スウェーデン、イスラエル、ポーランド、ルーマニア、スイス、イギリス、アメリカなどが現地に消火部隊を派遣した。
ドイツの災害支援機関は7日、消防士約200人と消防車44台を首都アテネに向かわせたとツイートした。
エジプト政府は消防ヘリ2台と消防士を派遣し、チェコ政府は消防車15台と消防士36人が向かっていると声明を発表した。
火災の原因は調査中だが、警察当局は6日、中部と南部の大アテネ地域の山火事に関与したとされる3人を逮捕したと明らかにした。また、地元メディアによると、7日午後にアテネの郊外で木立に火を放ったとされる47歳のギリシャ人が逮捕されたという。
一方、ギリシャの隣国トルコでも大規模な山火事が発生しており、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は批評家から「対応が遅い」と厳しく非難されている。
ロシア北部シベリアでも数週間にわたって大規模な延焼が続いており、少なくとも数千人が避難を余儀なくされた。環境保護団体などによると、今年ロシアで発生した山火事の推定燃焼面積は60,000㎢(中国四国地方より広い)を超えたという。