◎ロシア国営ガスプロム社は先週、技術的な理由からガスパイプライン「ノルドストリーム1」の供給量を削減すると発表した。
ドイツ政府は20日、ロシア産天然ガスの供給削減への懸念が深まる中、2030年までに脱石炭を達成するという目標を堅持すると表明した。
ロシア国営ガスプロム社は先週、技術的な理由からガスパイプライン「ノルドストリーム1」の供給量を削減すると発表した。ドイツ政府はこの措置を「政治的動機によるもの」と非難している。
緑の党のハーベック(Robert Habeck)副首相はロシアガスの削減に懸念を表明し、「政府はエネルギー危機に対処するため、より汚染度の高い石炭でこれを補うことになる」と述べた。
ハーベック氏はこの決定を大変遺憾としたが、「ガスの使用量を減らすために必要な措置」と説明した。
一部の気候活動家はこの決定に異議を唱えているが、SNSには「背に腹は代えられない」「真冬にガスタンクが空になれば死ぬ」などといった投稿が相次いで寄せられている。
ドイツ経産省の報道官は記者会見の中で、「政府は2030年までに脱石炭を達成するという目標に固執している」と語った。「政府の目標は全く揺らいでいません...」
ショルツ(Olaf Scholz)首相率いる連立政権は昨年末の連立協定で2030年までに石炭火力を廃止することで合意した。なお、ドイツの原子力発電所は今年中にすべて閉鎖される予定である。
一方、ドイツの隣国オランダのルッテ政権は20日、ガスプロム社が不穏な動きを見せているにもかかわらず、国内最大のガス田を2023年か24年までに閉鎖する計画を発表した。
しかし、ルッテ政権は火力発電所のガス使用量を削減するために石炭火力発電所を再びフル稼働させる予定である。
ルッテ(Mark Rutte)首相は昨年、温室効果ガスを削減するために持続可能なエネルギーへの移行を目指し、石炭火力発電所の稼働率を最大35%に抑えるなど、段階的に石炭の使用量を減らしていく目標を設定した。
オランダ経産省の報道官は20日、「手を打たなければ大きな問題に直面する」と述べ、企業や家庭に対し、冬のガス不足を防ぐためにできる限りガスの使用量を抑えるよう呼びかけた。
オランダ政府は北部フローニンゲン州にあるガス田から汲み上げるガスの量を大幅に減らしている。採掘が原因と思われる小規模な地震が多発し、数千の家屋が影響を受けたためだ。