◎ウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんも機動隊に運ばれた。
ドイツ警察は17日、西部ノルトライン・ウェストファーレン州の廃村リュッツェラート近郊の炭鉱に陣取った環境活動家たちを排除した。
ドイツ通信社(dpa)によると、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんも機動隊に運ばれたという。
この村の一部の住民は村をつぶして炭鉱を拡張するという計画に反対する訴訟を起こし、敗れ、昨年国営電力会社RWEに土地を売却した。
しかし、環境活動家たちはドイツ政府の方針に反対し、村にキャンプを設置。住民に代わって当局の解体作業を阻止しようとしていた。
ショルツ政権は昨年、2030年までに石炭火力発電所を廃止する見返りとして、RWEにリュッツェラートを取り壊す許可を与えた。
与党社会民主党と連立を組む反原発の「緑の党」もロシアによるウクライナ侵攻がもたらしたエネルギー危機を乗り切るためには石炭が必要と訴えている。
しかし、環境活動家たちは炭鉱の拡張が取り返しのつかない温室効果ガスの排出を招き、ドイツ政府の野心的な気候変動対策に悪影響を与えると非難している。
EUの執行機関である欧州委員会は17日、カーボンニュートラル達成を目指す取り組みの一環として、クリーンテクノロジー産業プロジェクトを推し進めると発表した。
一方、リュッツェラート周辺に陣取った活動家数十人は連邦政府と州政府に方針を見直すよう求め、座り込みを続けた。
dpaによると、活動家とみられる市民約120人がロンマースキルヒェン近郊にある発電所に続く石炭輸送用通路を占領し、警察に抗議したという。警察は人々を担ぎ上げ、どこかに連行したようだ。
さらに別の炭鉱でも数人が巨大な重機にしがみつき、警察に抵抗した。地元警察は声明で、「炭鉱は足元が悪く、大型重機が多数駐機しており危険だ」と警告している。
警察はリュッツェラートの解体作業をすでに終えている。
dpaによると、グレタさんを含む活動家たちはリュッツェラート近郊の炭鉱に突撃し、座り込んだという。
グレタさんも露天掘り炭鉱の縁に危険なほど接近し、警察の退去勧告を無視した。
dpaは警察関係者の話を引用し、「機動隊は事故につながる恐れがあるとして活動家たちを担ぎ上げ、身元確認のために一時的に拘束した」と報じている。
グレタさんも担ぎ上げられたひとりだった。
電力会社RWEは17日、活動家たちを「無謀」と批判した。dpaによると、ある活動家は鉱山の立坑内に侵入したという。
警察の報道官はdapの取材に対し、「個人情報保護法に基づき、一時的に拘束された個人の詳細を明かすことはできない」と述べた。