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米国の電力網に試練、冬の嵐で需要急増、電気料金急騰も

各地域の電力会社は停電や計画停電を回避するための緊急措置を相次いで講じており、電気料金の急騰や発電設備の再稼働など異例の対応が進んでいる。
米テキサス州の送電鉄塔(ロイター通信)

米国全土で冬の嵐が猛威を振るう中、電力需要の急増と燃料供給の制約が重なって電力網に負荷がかかっている。各地域の電力会社は停電や計画停電を回避するための緊急措置を相次いで講じており、電気料金の急騰や発電設備の再稼働など異例の対応が進んでいる。これは北東部から中西部、南部まで人口の約半数に当たる地域を猛烈な寒波が覆っていることに起因する。

東海岸・中大西洋地域を結ぶ最大級の電力網「PJMインターコネクション」では、1月24日午前のスポット卸電力価格が1メガワット時当たり3000ドル超に達した。通常は200ドル未満で推移していることから、需要の激増と供給不足が電力市場に大きな圧力をもたらしていることがうかがえる。こうした高騰を受け、通常は季節的に休止している旧式の火力発電所が相次いで稼働し、需要に対応している。

寒波は特に天然ガスの供給に影響を与えており、主要なガス田やパイプラインで生産や流通が滞る地域も出た。このため、電力各社はガス以外の燃料を活用する必要に迫られている。ニューイングランド地域では、通常はほとんど使われない燃料油発電が総発電量の35%を占めるまでに増加し、ガスによる発電が22%にとどまった。スポット電力価格も前日比で2倍以上に跳ね上がった。

一方、中西部・南部は電力販売を制限し、隣接するPJM地域から数千メガワットの電力を購入して需要を補っている。また、中西部・南部管内でもスポット価格が約500ドルに達する地点があり、地域による価格のばらつきが顕著になっている。寒波の影響を受けにくい南部地域では価格は50ドル前後に留まっているものの、需要急増の波は各地へ広がっている。

テキサス州の電力網「ERCOT(Electric Reliability Council of Texas)」も今回の寒波で大きな試練を迎えている。2021年の壊滅的な大停電以来、州当局と連邦当局が電力網の冬季対策を強化してきたが、今回の極低温はその準備の真価を問うものとなっている。ERCOT関係者は風力や太陽光、バッテリー蓄電池の寄与もあり、前回のような大規模停電は起きにくいと楽観的な見方を示すものの、予測不能な天候変動に対する警戒を強めている。

こうした電力網への負荷は、広範な悪天候と結び付いたエネルギー供給の脆弱性を浮き彫りにしている。天然ガス供給が滞る状況や輸送網の混乱は、電力供給の安定性に大きな影響を与える可能性がある。専門家は老朽化した発電設備の活用や石油・石炭発電の再稼働に伴う環境負荷、そして再生可能エネルギー資源の限界を巡る議論が今後のエネルギー政策において重要なテーマになると指摘する。

電力各社や政府当局は氷結による設備被害や送電線の断線など、今後予想されるインフラへの直接的な影響にも備えている。地域住民には最新の停電情報の確認や節電への協力が呼びかけられており、厳しい寒さが続く中での電力確保が引き続き最大の課題となっている。

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