◎フランスは今年、すでに3度猛烈な熱波に見舞われ、多くの地域で過去に類を見ない干ばつが進行している。
2022年8月3日/フランス、パリのコンコルド広場の噴水(Francois Mori/AP通信)

フランスのボルヌ(Elisabeth Borne)首相は5日、同国が過去に経験したことのない干ばつに直面していると警告し、危機管理部門を創設すると発表した。

ボルヌ氏は声明で、「フランスは今年、すでに3度猛烈な熱波に見舞われ、多くの地域で過去に類を見ない干ばつが進行している」と述べた。

AFP通信などによると、現在、多くの自治体で水不足が発生し、農業部門への影響が特に深刻だという。

ボルヌ氏は水不足が農業、生態系、生物多様性を窮地に追い込んでいるとした。「この経験したことのない干ばつは多くの自治体から水を奪い、農業、生態系、生物多様性を破壊しています...」

気象当局によると、全国の高温と乾燥は2週間ほど続く見込みで、さらに悪化する可能性があるという。

ボルヌ氏が創設した危機管理部門は被害の大きい地域を監視し、飲料水などの支援物資を提供したり、干ばつの状況を確認したりする予定だ。また、干ばつがエネルギー企業、交通インフラ、農業などに与える影響をまとめ報告するとしている。

エネルギー大手フランス電力(EDF)は5日、原子炉の冷却に使用している川の水位が減少したため、2つの原子力発電所を停止せざるを得なくなったと発表した。

またEDFはローヌ川の水温が上昇している影響で、さらにもう1つ原発を停止する可能性があるとした。

フランス原子力安全局(ASN)は2003年の大熱波を受け、冷却に使用できる河川の温度を28度以下とし、それを超えた場合は発電量を減らすよう規則を改訂している。ただし、緊急時であれば規定温度を数度引き上げることを可能としている。

フランスは国内で消費する電力の約70%を原子力に依存している。これは世界で最も高い。

一方、フランスでは現在、62の地域で水の使用が制限されている。報道によると、制限対象は地域の実情によって異なるという。

環境連帯移行大臣は今週、南東部地域を訪問した際、「100以上の自治体が水道水を供給できなくなり、給水車が必要になるかもしれない」と述べていた。「飲料水が最優先。その次は医療機関や田畑への給水が優先されるでしょう...」

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