米アリゾナ州の農村地域で洪水、3人死亡、数人行方不明
洪水は26日、州都フェニックスの東方約140キロに位置する人口約7000人のグローブ市で発生した。
.jpg)
米南西部アリゾナ州ヒラ郡で大雨による洪水が発生し、少なくとも3人が死亡、複数人が行方不明になっている。地元当局が27日、明らかにした。
ヒラ郡緊急事態管理局の局長はABCニュースの取材に対し、「亡くなった3人のうち2人は車内で、3人目は別の場所で発見された」と説明した。
洪水は26日、州都フェニックスの東方約140キロに位置する人口約7000人のグローブ市で発生した。
グローブ市当局はフェイスブックへの投稿で、捜索隊が夜通し行方不明者の捜索を続け、27日に追加部隊が到着して捜索を継続していると発表した。
また当局は市民に対し、洪水が発生した地域に近づかないよう呼びかけた。
アリゾナ州は南西部に位置し、多様で特徴的な地形を持つ州である。州の南部には広大なソノラ砂漠が広がり、乾燥した気候と高温が特徴的である。一方、北部にはコロラド高原が広がっており、標高が高く気温も比較的低い。グランドキャニオン、ナバホ高原、モゴリオンリムといった険しい地形が広がっており、山岳地帯や森林も存在する。また、州全体にわたって、乾いた川床や渓谷、乾燥した平原なども多く見られる。これらの地形は美しい景観を生み出す一方で、特定の自然災害にもつながる要因となっている。
アリゾナ州の気候は基本的に乾燥しており、年間を通じて降水量は少ないが、夏季(主に6月から9月)には「モンスーン」と呼ばれる季節風の影響で、突発的かつ局地的な豪雨が発生することがある。特に砂漠地帯では地表が硬く乾いているため、雨水が地中に浸透しにくく、そのまま流れ出して鉄砲水を引き起こす。これにより、一見すると乾燥して安全そうに見える川床や谷底が、短時間で濁流に変わる危険性がある。
また、都市部においては急速な人口増加と都市化が進んだ結果、舗装面や建築物が増加し、自然な排水能力が低下している。これにより、雨水の流出が速まり、都市型洪水のリスクが高まっている。フェニックスやツーソンなどの都市では、豪雨によって道路が冠水し、交通が麻痺することもある。さらに、急斜面を持つ地域や山岳地帯では、大雨により地滑りや土砂崩れが発生することもあり、居住地や交通インフラに被害を及ぼす可能性がある。
このような背景から、アリゾナ州では洪水リスクへの対応が重要な課題となっている。州政府や地方自治体は洪水警報システムの整備、排水路やダムの建設、災害教育などを通じて被害の軽減に努めている。住民に対しても、気象情報の定期的な確認、避難経路の確認、緊急時の行動計画の策定などが呼びかけられている。また、洪水危険区域に指定されている地域では、建築基準の厳格化や土地利用の制限なども行われている。