タイ南部豪雨、洪水による死者80人超、水位低下も
洪水は12の県にまたがって発生し、少なくとも約100万世帯、300万人超が河川の氾濫や浸水の影響を受けたとされる。
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タイ南部で豪雨によって引き起こされた洪水の被害が拡大し、死者数が80人を超えた。当局が27日、明らかにした。
洪水は12の県にまたがって発生し、少なくとも約100万世帯、300万人超が河川の氾濫や浸水の影響を受けたとされる。
ソンクラー県の被害は特に深刻で、複数の地域で水位が1〜4メートルに達したとの報告もある。
中央政府および関係当局によると、洪水は週末からの断続的な豪雨が直接の原因であり、短期間で雨量が急増し、複数の河川が氾濫した。
この結果、広大な地域が浸水し、住民は避難を余儀なくされ、多くが屋根の上や一時避難所に身を寄せるなど、過去に例を見ない規模の被害となっている。
洪水によってインフラも深刻なダメージを受けた。多くの地域で電力・上下水道・通信が途絶し、交通網も寸断された。
特にソンクラー県ハートヤイでは病院の機能が著しく低下し、緊急対応のために8つの臨時野戦病院が設置され、患者20人がヘリで別地域に移送された。加えて、医療スタッフや患者に向けて飲食物や医療物資が届けられている。
これを受けて、政府は被害の甚大なソンクラー県を含むエリアに対し「非常事態宣言」を発令。救援活動の強化と住民の安全確保を最優先とするとしている。
また当局は、水位が一部で低下してきているものの、水が完全に引くには時間を要するとし、住民に対して引き続き警戒を呼びかけている。
一方で、今回の洪水は過去にも幾度となく大きな被害をもたらしたタイ南部の洪水危機の延長線上にある。気候変動に伴う集中豪雨の頻発や、インフラの脆弱性が指摘されている。専門家は、今後は流域管理の強化や都市計画の見直しなど、洪水対策を抜本的に強化する必要性を訴えている。
