SHARE:

モロッコ中西部で豪雨による水害、21人死亡、32人負傷

サフィ市内ではこの日、短時間で猛烈な雨が降り、わずか1時間ほどで旧市街地を中心に住宅や商店が浸水した。
2025年12月14日/モロッコ、中西部サフィ、大雨により冠水した道路(ロイター通信)

モロッコ中西部の大西洋沿岸に位置するサフィで14日、豪雨による洪水が発生し、少なくとも21人が死亡、32人が負傷した。地元当局が明らかにした。

それによると、32人は病院で治療や手当てを受け、大半が退院しているという。

サフィ市内ではこの日、短時間で猛烈な雨が降り、わずか1時間ほどで旧市街地を中心に住宅や商店が浸水した。洪水によって数十台の自動車が押し流され、主要道路や周辺の交通網も寸断された。

サフィとその周辺では道路も冠水し、救助隊が行方不明者の捜索や避難支援にあたっている。

中央政府は声明で、死者数が増加する可能性もあるとし、引き続き救援と治安維持のための努力を続けていると説明した。また、負傷者の治療や避難民への支援も優先的に進められている。今回の豪雨はサフィ周辺だけでなく、アトラス山脈地域にも雪や大雨をもたらしており、気象当局は広範囲での警戒を呼びかけている。

サフィはモロッコ第3の港湾都市であり、観光地としても知られる一方で、急激な気象変化に対して脆弱な地域でもある。モロッコは近年、干ばつに悩まされ、主要な貯水池の水位低下が続いていたが、この日の集中豪雨は逆に洪水リスクを高める結果となった。気候変動の影響で極端な気象現象の発生頻度が増しているとの指摘もあり、今回の災害はその一端を示すものとして受け止められている。

サフィでは洪水により一部の住民が住居を失い、避難生活を余儀なくされている。地元自治体は被災者支援のための避難所設置や物資支援を進めているが、被害の全容把握と復旧には時間を要するとみられる。国際的な支援の可能性についても今後検討される見込みである。

今回の洪水はモロッコや北アフリカ地域での異常気象への備えと、水害対策インフラの強化の必要性を改めて浮き彫りにした。地域の気象当局や災害対策機関は今後さらに厳しい気象条件が予想されるとして、住民に対して最新の気象情報の確認と安全確保を呼びかけている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします