◎北アフリカの乾燥した暖かい暖気がイベリア半島の気温を押し上げ、山火事を後押ししている。
2022年7月15日/ポルトガルとスペインの国境近く、消火活動に当たる消防士(Getty Images/EPA通信)

数千人の消防士がポルトガル、スペイン、フランス南西部で山火事と戦っている。

ポルトガル北部ではスペイン国境に近い地区で消防飛行機が墜落し、パイロットが死亡した。

フランスのジロンド県では1万2000人以上が避難を余儀なくされている。

スペインの地中海沿岸マラガ近郊のミハスでも住宅地に炎が接近している。

AP通信などによると、ミハスの火災は風が弱まった影響で鎮火しつつあるという。ただし、当局は乾燥状態が続く限り危険であることに変わりはないと警告している。

気象専門家によると、北アフリカの乾燥した暖かい暖気がイベリア半島の気温を押し上げ、山火事を後押ししているという。

消防飛行機は消火剤を投下し、消防ヘリは海水を撒くために山間部と沿岸を往復している。

フランス南西部の大西洋沿岸でも山火事が拡大し、地元住民は迫りくる脅威を「アポカリプス(世界の終末)」と呼んだ。

ジロンド県の住民はAFP通信の取材に対し、「大変なことになった」と語った。「こんなの見たことがありません...」

ジロンド県と南西部ボルドーの焼失面積は100㎢近くに達したと報告されている。当局は現地に消防士約3000人を派遣し、消火活動に当たっている。

熱波はイベリア半島の気温を押し上げ、ポルトガルでは47度、スペインでも連日40度超えを記録。山間部はマッチ1本で山火事を起こせるほどカラカラに乾燥している。

スペイン公共放送TVEによると、今回の熱波による両国の死者数は300人を超えたという。その大半が熱中症と報告されている。

ポルトガルで最も深刻な状況にある地域が北東部で、消防によると、今年の焼失面積は300㎢を超え、2017年夏の山火事に匹敵する規模に拡大したという。2017年の大火では100人近くが死亡している。

スペイン南西部エストレマドゥーラ州から避難した女性はロイター通信の取材に対し、「こんな恐ろしい光景を見たのは生まれて初めて」と語った。

熱波は地中海の広い範囲に影響を与えている。イタリア政府は主要河川の水位が低下したことなどを受け、非常事態を宣言した。

ギリシャの首都アテネの郊外でも山火事が発生し、消火活動が続いている。地元メディアによると、7つの村に避難指示が出たという。

モロッコ北部の山間部でも火災が発生し、1人の死亡が確認された。

フランスの気温は来週さらに上昇すると予想されている。当局は16の県に気象警報を出し、最高気温が40度前後に達する地域の住民に外出を控えるよう呼びかけている。

2022年7月15日/スペイン、地中海沿岸マラガ近郊のミハス(Ashley Baker)
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