◎環境NGOグリーンピースは欧州委員会の提案を「グリーンウォッシュ・ライセンス」と呼んだ。
1月2日、EUを統括する欧州委員会は原子力発電と天然ガス発電をクリーンエネルギーにラベル付けした新たな気候変動対策計画を提案した。
AFP通信などによると、欧州委員会は草案の中で持続可能なエネルギーとそれに対する投資などについてまとめ、「特定の条件を満たせば天然ガスと原子力発電もクリーンエネルギーと見なすことができる」と定義した。
また草案は、天然ガスと原子力を「クリーンエネルギーへの移行をサポートするカギ」と呼んだ。
しかし、ドイツの経済・気候保護部門を率いるロベルト・ハーベック副首相は天然ガスと原子力をクリーンと定義した草案を厳しく批判した。「欧州委員会の提案は持続可能を達成しようとするEUの理念を打ち砕くでしょう...」
緑の党を率いるハーベック副首相はドイツ通信社のインタビューの中で、「欧州委員会の提案を承認する理由が思い当たらない」と述べた。「金融市場がこのグリーンウォッシングを受け入れるかどうかは疑わしいです。この提案は絵画への投資を持続可能と呼ぶようなものです...」
グリーンウォッシングとは環境に配慮をしているように装いごまかすことで、一部の環境活動家は環境に配慮しているように見せる商品やサービスで消費者への訴求効果を狙う企業をグリーンウォッシング企業と呼んでいる。
オーストリアのレオノーレ・ゲウスラー気候保護大臣(緑の党)も、「欧州委員会は天然ガスと原子力発電所を擁護するグリーンウォッシング・プログラムを開始した」と述べ、草案を却下した。「ガスと原発は気候と環境に有害であり、世界の未来を破壊します」
環境NGOグリーンピースは草案を「グリーンウォッシュ・ライセンス」と呼んだ。
グリーンピースの報道官は2日の声明で、「汚染企業は欧州委員会のグリーンウォッシュ・ライセンスを取得することで天然ガスを燃やし、放射性廃棄物を生成し、現金を集め、地球を破壊し続けるでしょう」と述べた。
世界は昨年11月に開催されたCOP26気候サミットで、「地球の気温上昇を産業革命以前の平均プラス1.5℃以内に抑える」と約束した。
欧州委員会は草案の中で、「天然ガスと原子力エネルギー部門はEU経済の脱炭素化に貢献できると認識する必要がある」と述べた。計画によると、最高水準の天然ガスおよび原子力発電所のみクリーンエネルギーに分類されるという。
また欧州委員会は計画の実行に先立ち、使用済み核燃料の厳格な廃棄処理計画を策定する必要があると強調した。
草案は欧州議会とEU加盟国27カ国で審議され、過半数が支持すれば2023年に法制化される予定。
AP通信などによると、フランスは草案に原子力発電を含めるよう欧州委員会に提案したという。フランスは総発電量の7割を原発に依存しているが、今後15年間で稼働基数を半分に減らす予定。
2022年までに国内の全原発を廃止するドイツはフランスの政策を厳しく批判している。
欧州諸国は1986年に発生したチェルノブイリ原発事故の恐怖を鮮明に覚えており、その運用は今でも物議を醸している。ドイツは事故発生時、数カ月間におよぶ厳しい外出制限を発効し、その年の農家の収穫量は激減し、キノコ狩りは数年間禁止された。
一方、原発は正しく運用すれば大気中に汚染物質をほとんど放出しないため、多くの先進国が気候計画目標の中に原発の運用を含めている。
一部の気候活動家は火力発電だけでなく原発の廃止も求めているが、再生可能エネルギーだけで需要を賄える国は少ない。ドイツも再生可能エネルギーの発電量が目標値に達するまでは天然ガスを使用する方針である。
使用済み核燃料の処理には膨大な年月と費用がかかる。