◎ここ数日の大雨により、東部政府が統治する複数の地域で洪水が発生し、多くの家屋やインフラが被害を受けた。
リビア東部で大雨による洪水が発生し、2000人もの死者が出た可能性がある。地元当局が11日、明らかにした。
それによると、ここ数日の大雨により、東部政府が統治する複数の地域で洪水が発生し、多くの家屋やインフラが被害を受けたという。
最も深刻な被害を受けたのは、かつてイスラム過激派に支配された町デルナと伝えられている。
2011年のカダフィ(Muammar Gaddafi)大佐討伐後、国連の支援を受けることとなった西部政府のドベイバ(Abdul Hamid Dbeibah)首相は2021年後半に予定されていた選挙を実施できず、国際社会を失望させた。
政治的な行き詰まりと争いは2つの政府を生み出し、混乱が収束する見通しは全く立っていない。
ドベイバ政権と対立する東部政府を率いるバシャガ(Fathy Bashagha)首相は港町シルトに拠点を置き、2021年3月頃から権力闘争を続けている。
東部地域のインフラはほとんど整備されておらず、大雨の影響を強く受けたとみられる。
被害の全容は明らかになっておらず、関係機関、人道団体、ボランティアなどが調査に当たっているようだ。
地元のテレビ局は東部政府関係者の話しとして、「これまでに61人の死亡を確認した」と伝えている。しかし、これにデルナの死者は含まれていないとみられる。
ソーシャルメディアで共有された複数の動画には、洪水で押し流されたレンガ造りの家や車、冠水した道路が映っていた。
あるSNSユーザーは「町ひとつが丸ごと冠水した」と投稿している。このユーザーによると、複数の川が合流する地点のすぐ近くにあるアパート数棟が完全に崩壊したという。
バシャガ政権の報道官は11日、地元テレビ局のインタビューで、「デルナだけで2000人が死亡した恐れがあり、5000~6000人が行方不明になっている」と語った。
また報道官はデルナを災害地域に指定し、一般人の立ち入りを禁じたと明らかにした。
東部に駐留するリビア国軍(西部軍)の報道官も記者会見で、「デルナの死者数は2000人を超えた」と述べた。
それによると、デルナ郊外にある2つのダムが大雨で決壊し、麓の町に濁流が押し寄せたという。同報道官も5000~6000人と連絡が取れず、捜索活動が続いているとした。
一方、リビア赤新月社は11日、この地域で救助活動に当たっていた職員の1人と連絡が取れなくなったと明らかにした。
地元メディアによると、デルナでは水道・電気・インターネットを利用できず、壊滅的な状況だという。
ドベイバ政権を支援するトルコとアルジェリア両政府は犠牲者に哀悼の意を表し、要請があれば支援を提供すると表明した。