◎COP会場近くに集まった気候活動家たちは10日、「汚染者を会議から締め出せ!」と叫んだ。
国際NGO「グローバル・ウィットネス」によると、エジプトで開催されているCOP27(国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議)に化石燃料産業の関係者600人以上が参加しているという。
同団体は9日の声明で、「化石燃料を推進したい産業の出席者数は昨年のCOP26から25%も増加した」と明らかにした。
今年、最も多くの関係者を派遣する国は来年のCOP28を主催する産油国のアラブ首長国連邦(UAE)である。昨年の代表団は170人だったのに対し、今年は1070人を送り込む予定だ。
COP27は紅海のリゾート地シャルムエルシェイクで開催されている。期間は11月6日から18日まで。アフリカの一部首脳はこのサミットを「アフリカのCOP」と呼び、大陸の人々を貧困から救うために化石燃料の開発と利用を強化すべきと主張している。
ナミビアのある石油産業関係者はSNSに、「石油・ガス会社の代表はアフリカの利益のためにすべてのエネルギー資源を開発する、という強いメッセージを世界に発信したいのだ」と投稿している。「主要国の圧力には屈しません!」
しかし、国連の気候変動に関する政府間パネルは、地球の平均気温を産業革命以前の2℃または1.5℃に抑え、山火事、干ばつ、壊滅的な洪水などを避けるために、化石燃料の新規開発を制限すべきと警告している。
COP会場近くに集まった気候活動家たちは10日、「汚染者を会議から締め出せ!」と叫んだ。
グローバル・ウィットネスは公式SNSに、「会場から汚染者を追い出し、本来の目撃である気候正義を追求し、温室効果ガス削減に向け行動を起こす時がきた」と投稿している。
ナイジェリアの気候活動家はAP通信の取材に対し、「アフリカのCOPで気候変動の影響を最も強く受けている人々の声を伝える、という希望は打ち砕かれつつある」と語った。「化石燃料ロビー集団は去るべきです!」
別の活動家はCOP27を「化石燃料カーニバル」と呼び、ロビイストを逮捕しろと叫んだ。
ブリュッセルに本拠を置く団体「コーポレート・ヨーロッパ・オブザーバトリー」も欧州で化石燃料産業のロビイストが積極的に活動していると警鐘を鳴らしている。
同団体によると、ロビイストたちはEU加盟国に積極的に働きかけ、化石燃料の購入を促しているという。
EUはロシア産原油・天然ガス依存から抜け出すために、他国との燃料取引を大急ぎで進めている。
石油大手シェル、トタルエナジーズ、エニ、レプソルの4社は今年これまでに780億ユーロの利益を上げたと言われている。
コーポレート・ヨーロッパ・オブザーバトリーは声明で、「石油大手の途方もない利益はウクライナ侵攻以来、石油・ガス会社がEU首脳との前例のない会談を楽しんでいるおかげで実現した」と非難している。
同団体によると、化石燃料産業は2月24日の侵攻開始以来、EU高官に対し、100回以上ロビー活動を行ったという。
国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長が気候危機の影響を受けている国々を支援するために呼びかけた「風評税(特定の企業や産業が得た利益一度だけ課する税金)」を課さない国も多数ある。